考えてみれば、あまりこう言った小説には手を
出した事がありませんでした。

すぐに思いつくのは『神々の山嶺』
あれは凄かった。
再読するのに勇気が必要な程
自分の中では迫真でした。

3/11以降、地震だとか、放射線だとか、
そんな事に思いを巡らす事が多くなり、
いつもなら目に留まらないけれど、
手にとって、あらすじを読むと
今読まなければ一生読まない本と
格付けし、レジへ。

あくまで小説。
だから、そこには
一種のエンターテイメントがある。

いや、実際に震災をテレビ越しとはいえ、
目の当たりにした事を考えれば、
書かれない事柄があるからこそ
小説になったし、
厳しい現実も軽さを得て、
フィクションになった。

だから、涙を流す暇もあったし、
出来た閣僚がいたりもする。笑。

物語では
東京に直下型地震が起こる。
3/11をほうふつとさせる風景が
そこにはあった。
だから、余計にありありと
その様が浮かんだのだろう。

一瞬で全てが変わる。

景色も
経済も
環境も
考え方も
自分も
人生も
日本も。

そして、思うのは、
震災が起こったとしても、
出来る事なんて何もない。

起こった後にどうするかだけだ。

自分の部屋の下には
母親が寝ている。

恐らく、直下型の地震が起これば、
重い本棚の下敷きになってしまうだろう。

それを想像できた事がこの本から得られた全てだ。

週末に棚を移動させて、
命が一つ救えれば、
この本としては本分を全うできたと言えるのではないだろうか。

きっと私は死なない。
だから、残った後の事を考える。

そして、それはまさに『今』につながる。



ちなみに、
どうして夜間電力まで、節電しているのか
私にはわからない。
電気って貯めておけないんじゃなかったっけ?

自粛と言うのは決して、
自分らを貶める事ではないのに、
それに気がつかない人が多いのには
ちょっと驚いた。


M8 (集英社文庫)/高嶋 哲夫

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