『クオリア』と聞いてピンとくる人は現在どのくらいいるだろうか?

私にはピンとこなかった。

なぜわざわざ新しい単語で同じ意味を表現しなければならないのか。

クオリアとはつまり『もののあわれ』であり『情感』である。

著者のとある体験からクオリア、仮想の世界をそこかしこに
見出し、現在の科学的な解釈では表現でき無い部分を
認める。

この認めるとは簡単な言葉だが、
科学と着いたものがあいまいななにかふわふわしたものを
認めるという事は尋常ではない事のように思える。

決して、論理だけに寄るのではなく、
それでいて神秘主義にも走らない。

至極中庸な道を著者は淡々と歩き続ける。

なんだか、メディアに出過ぎていて、
文化人として味をしめてしまっているかのような
印象を勝手に抱いていたが、
これを読んでがらりと変わった。

つまり私はそういった仮想の世界に生きていただけなのだ。

しかし、と著者の事を知ったように思ってしまうこの事
こそが仮想の世界に他ならないだろう。

それを決めるのは
自分の心の持つ『情感』であると自分も思う。

脳と仮想 (新潮文庫)/茂木 健一郎

¥460
Amazon.co.jp