う~ん。

本に線が引いてあったので、なんとなくこう入り込めませんでした。

いや、普通に良いところに引いてあればそれほどではないんですが、

つい突っ込んでしまうんです。

まぁ、『慇懃』ならわかります。

確かに音で知っていても文字を見た事のない場合だってあるでしょうし、

『放縦』も仕方ない。

けれど、『陰惨』は、わかっても良いのではと思ってしまうのです。

もちろん、これを読んだ方が高校生ならまだ、わかるし、

これを機に勉強をしているのなら何も言うところはありません。

ただ、本を読んだ、自分と同等レベルだと思われる誰かに対して、

突っ込まざるを得ないのです。



が、しかし、ここからが古本の面白いところ。

裏表紙にありました。

彼の独白。

ちょっと字が汚くて、読めないところもあるのですが、

それでも、熱い芸術家魂をもった写真家である事が

うかがい知れます。

彼はこの後新宿へ行ったそうです。

しかし、次の日の独白では、

若干教育を受けてきた人たちに対する

やっかみが見えてしまいます。

それでも、瞬間瞬間を生きようとしています。

一体幾つの人で、どんな人なのか、検索しても出てきませんでした。

けれど、彼は今も戦っているに違いないと信じたい。

そして、偉大な写真家になってもらいたい。

それまで、この本はとっておこう。


読み返してみると、その独白に通じる個所に線が引かれています。

つまり、私はこの本に賭ける情熱が彼よりも劣っていると言う事に

他なりません。

瑣末な事に気をそがれ、読むことをおろそかにしてしまっていました。

悔しいので、もう一度。

私は赤ペンで彼をこの本の中で殺します。

それが彼への私に出来る唯一の花向けだと思うからです。



詩とか一言とかそういうのが入った古本を専門で扱っている

古本屋があれば、ぜひ行ってみたいものです。

綺麗で新しい本も好きだけど、

誰かの瞬間を味わえるこういった古本も大好きです。






芸術と青春 (知恵の森文庫)/岡本 太郎

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