ついつい手が伸びてしまう、藤森さんの著作。

要所要所に驚きどころが用意されていて、

いつもながら、ニヤニヤしてしまう。

ただ、そうはいっても、やはり建築家兼建築史家。

眼の付けどころが少し?かなりずれているように見えるが、

実はそこが建築の根っこだったりもする。


アルタミラやラスコーノ洞窟の壁画は

何の先入観からか、入り口付近にあると思っていたが、

実はそうではないらしい。

まぁ、火が貴重な時代だから、日の光が入るところと

思っていたのだろう。

洞窟の入り口付近には住居があり、

そこから奥に進む事数キロ。

光の届かない真っ暗闇に

壁画はあるらしい。


どうしてそこまでしてと頭をひねらざるを得ない。

しかし、ひねって出てくるもんでもない。


さらに、衝撃を受けたのは

コルビジェは桂離宮を一回りして、

待っていた弟子に向かってこう言ったという。

『線が多すぎる』


…多すぎますか?
言われてみれば…。

侘びだの寂びだのと言っている割には

それを表現する為に多くの手間がかかっているのは

一目瞭然だ。

それに、日本の住居形式だとどうしても

線が多くならざるを得ない。

それを一発で見極めたコルビジェは流石。

それに気付かず、

なんとなく浮かれていた自分はすごくはずかしい。


現在建築界の流れの一つにシームレスというものがある。

それはかの深沢直人も実践している事だが、

つなぎ目を無くす事。

そこにつなぎ目があると言う事を意識させない事。

こういったものなどは線が少ない。


と考えると、未だにコルビジェの思想から離れられていない

のではと感じてしまう。

しかし、思想が違っても出てくる形態がにかよる事はあるし、

問題はないだろう。

ただ、そこが建築の限界なんかでは全くない。

ただ単に、建築家がサボっているだけなのだから。笑。