見事。

著者はどうやら建築史界では異端らしい。
権威にこびず、時代に迎合しない。

そういった姿勢があったという部分に表しか知らない自分の浅さを思い知った。

建築学会だかなんかが取り上げるものは、建築学会にとって有利なものが大半なのかもしれない。

それでは、歴史と何ら変わりない。

建築史はこんなにも面白い。
そして、油断できない。

蒙昧な態度で学べば、絡みとられ、身動きが取れなくなる。

すこし大げさかもしれない。

でも、だからと言って、ありのまま、俯瞰された、絶対的な歴史というのが存在しているわけでもない。

誰かがいて誰かが描く歴史は他の誰かからみた歴史とは必ずも同じではない。


ふと、芥川龍之介を思い出す。

つまるところ、歴史とは常に藪の中なのかもしれない。

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