漫画より面白い。

いや、漫画の古事記を読んだ事はないんですが、こう、読書の醍醐味というか、想像力のたまものというか、浮かび上がってくるイメージが漫画にされてしまうと途端に色彩に欠いてしまう。

そんな気がしました。

日本最古の歴史書。名前だけは聞いた事があるが一行も読んだことの無かった本の一つをやっと
クリアしました。

といっても、今回読んだのは現代語訳メインの読みやすいやつですけど。


日本の成り立ち(神話)から天孫降臨、さらには、神武天皇から推古天皇までの逸話集からなる
上中下巻の壮大な物語です。

史実と認められていないみたいなので飽くまでも物語。

正史として認められているのは日本書紀。

確かにファンタジーな部分が多く、これを正史とされても困ってしまいます。

が、そのファンタジーの中にちりばめられた真実と言うものもあるのではないかと勘繰りたくなる、
午後一時から始まる愛憎劇にも劣らない人間のどろどろした部分が満載です。

なんとなく聞いた事のある神様が一個人として想像できるのはやはり面白い。

歴史の正誤などは私の範疇外ですが、この辺りからの根源的な思想を建築に活かすにはもっと
深みに嵌らないと出来そうにありません。



ただ、これを民族性と言うのかはわからないけれど、

古事記の中の理解できてしまう、曖昧模糊とした部分というのはものすごく日本的なんじゃないかなと
思ってしまい、古事記から学んだわけでもないのに、その部分は日本人のほとんど誰もが
当たり前の事だと消化できてしまう意識があるような気がします。

あくまでも神話だからと言うだけの理由でこの本が現代にまで残っているのはすごく不思議な気がします。
下手したら皇室の尊厳を落としかねないのに。
どこかの時点で焚書してしまい、無いものとして扱う事も出来たのに。

そう考えると、やはり真実なんて一つも無いのかもしれません。
でも、日本書紀と被る部分があるだなんて、なんだか不思議です。

もやもやしてしまいます。


それにしても、仁徳天皇の逸話には感動してしまいました。
簡単に書くと、

高い山に登って民衆の生活を眺望したところ、竈から出ているはずの煙が見えない。
つまり、民は食事もままならない。
なので、課税徴収をやめてしまう。
しばらくして、また眺望すると竈からの煙がもうもうと立ち上っていたので、
生活の安定が見られたので、課税を再開した。

そんな話です。

それを現代でもやってみろと政治家に詰め寄るのはよしましょう。
でも、先を見通し、その位の英断を常に行ってもらいたいです。


まぁ、そんな話は置いといて、
今回言いたい事があるのなら、

単純に古事記は面白い。

それに尽きる気がします。


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