『知恵のある愚者』
と、聞いてどんなイメージがありますか？
「知恵があるんだから、
愚者とは呼ばないでしょ？」
という意見もありますね。
だけど、
知恵があるがゆえに
視野が狭くなる
という一面もありますね。
つまり、
知恵のある愚者＝盲目
ということです。
あるとき、
こんなことがありました。
小さな子供が
「今から魔法を見せるね。
この手のひらに
チョコレートを出すから
見ててね。」
と言うのです。
私は、
「へぇ、どんな魔法なのかな？」
と言いつつも、
そんなの無理だよと思っていたら、
その子供は、
「お母さ〜ん。
チョコレート持って来て〜。」
と母親に言って、
手のひらにチョコレートを持って
「ほら、チョコレートあるでしょ。」
と私に言いました。
なるほどね。
大人になるにつれ
知恵がついてくるから、
手のひらにチョコレートを出すには、
自分でチョコレートを持って来る
という行動をしなきゃいけないと
思っているけど、
子供にとってはその前提が無いから
まさしく『魔法』です。
これが、
知恵があることによって
盲目になっている一例です。
ソクラテスは、
『彼は何も知らないのに、
知っていると信じている。
私は何も知らないが、
知っているとも思っていない。』
と語っています。
これが有名な『無知の知』です。
また、
遠藤周作はこのように述べています。
『自分が弱虫であり、
その弱さは芯の芯まで
自分に付きまとっているのだ、
という事実を認めることから、
他人を見、社会を見、文学を読み、
人生を考えることができる。』
無知の知がある者だけが、
見えている世界があり、
それを追い求めるのが
『知者』と呼べるでしょう。
一方で
見えないものを、
見えないままにしているのが
『愚者』と呼べます。
いつでも
『今、この瞬間』が
一番若いのだから、
今から追い求めるのも
遅くはありません。
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