世間一般ではノラと呼ばれる猫だ。
だけど、最初からノラを可愛がった訳じゃない。ノラは怖くて、花壇を荒らして、どちらかと言うと困った存在だった。
だけど、そんなことを吹っ飛ばしてしまうくらい、優しくて嬉しかったことができてしまった。
大切なことを教えてくれて、優しい思い出をくれた、大事な家族。
名前を呼べば走り寄って、膝の上に乗ったり、お腹の上に乗ってお昼寝した。
本当は、飼いたかった。だけど、猫嫌いの父は中々首を縦には振ってくれなかった。
もっと一緒に居たかった。もっと一緒に遊びたかった。
ずっと、一緒に居たかった。
飼っていい、漸く許してもらえた私は、いつもぶちこが遊びにくる縁側で待ってた。
でも、ぶちこは来なかった。次の日も、その次の日も…一週間経っても…来なかった。
保健所に電話したりもしたけど、ぶちこは見つからなかった。
泣いて、泣いて…だけど、諦められなくて、待った。
でも、1年待っても、2年待っても、3年待っても…
ついに、5年経っても、ぶちこは来ない。
もう、ぶちこは死んでしまったのかもしれない。
でも、もしかしたら、ぶちこは誰かが拾ってくれたのかもしれない。
もし、誰かが拾ってくれているなら、どうか幸せにしてあげてください。
返して、なんて言えないから、大好きだから連れて行ったと思うから、
だから、せめて、どうか、どうか、幸せにしてあげてください。最期まで愛して上げてください。私にとって、ぶちこは誰よりも何よりも大事な存在でした。

