何十通りもの独自のカット技法を開発してあらゆる、骨格、クセ、髪質に対応するべくカット技術を磨いてきた。
沢山のお客様に喜んでいただけたし、「あなたのカットじゃないとダメ」というありがたい言葉もたくさんいただいた。
しかしそれでも、お客様の悩みは尽きない。
カットが得意で他所では対応出来ない髪質でも自分のカットなら難なく解決するする事も多かった。
カット技術に自信があった事から、カットに特化した美容室をオープンした。
反応は上々、チラシも出して、ネットでもカットが得意な事を大々的に打ち出した。
ネットの効果が出始めてからは福岡全域は勿論、県外からもカットでお客様が来店されるようになった。
しかし、県外からも来るということは、それだけ悩みも大きく期待も大きいという事。
いつしか、カットで出来る事と、お客様の望むことの間に大きなギャップが生まれた。
カットだけではお客様の悩みの根本は改善できない…
大きな壁にぶち当たった。
元々、お店のコンセプトは「本質的な美しさの追求」だったし、その日限りの誤魔化したようなスタイリングでカッコよく見せたり、数日しか持たないトリートメントでキレイに見せる事はあまり好きではなかった。
そのこだわりが、自身を苦しめた。
他所のお店なら、くせ毛のお客さんは縮毛矯正をかけたりトリートメントを簡単に勧めるが、自分はそれをあまりしなかった。
その提案はその場凌ぎでしかなく未来がない事を知っていたからだ。
「これまでと違った全く新しいシステムのトリートメント!」というふれ込みにも、今度こそ!と期待を込めてチャレンジしてみても、ダメだった。
やっぱり根本的な解決策にはならなかった。
とにかくカットを緻密にやって極力扱いやすくするしかなかった。
クセが強く髪が多いお客様なんかはカットで5時間かかる事も少なくなかった。
当然それだけ手をかければお客様は「今までにないカット」として喜んでいただけるが、こちらとしては疲弊しきってきて、とてもやり続けていけるサービスではなかった。
そんな自身のこだわりと世の中のニーズとのギャップに悩み、美容師人生で行き詰まっていた時に出会ったのが「理学美容」だった。
藁にもすがる思いで研修会に参加したが、自分の想像以上にその内容が素晴らしかった。
自分が望んでいた「本質美の追求」が、そこにあったのだ。
人間を根本から美しくする方法。女性ホルモンはそもそも美しい。髪、頭皮、肌を根本から美しくする方法。
どれもが素晴らしい研究と根拠と結果だった。
求め続けていた答えに出会えた気がした。
どんなに上手でもカットだけでは根本的にキレイにならないし、髪質、肌質という土台がなければ意味がない。
理学美容は自分の行き詰まりの美容人生を大きく変えた出会いになった。