10年ほど前は、セクシャル・マイノリティ(少数派性的志向とでも訳すのがよいのでしょうか)に対して私はかなり強い偏見があったと思います。それを「常識」だと思っていたので偏見という気持ちもなかったのですが。いまだに実生活でセクシャル・マイノリティに属する人と知り合ったことがないので、あるいは知り合いではあるがそこまで打ち明けてくれていないのかもしれませんが、実際にどれくらい自分の中に「偏見」が残っているのか分かりませんが、かなり薄くなったんではないかと思います。

 

変化のきっかけとして覚えているのは、もう閉鎖してしまいましたが、あくえりあんという方の「あるがままでいいんだよ」というブログを2012年の末頃に熱心に読んでいて、その記事だったと思います。この方は理科系の大学を出てサラリーマンとして働いた後、独立して自営業をされていたのですが、雲黒斎のブログ「あの世に聞いたこの世の仕組み」を読んで、守護霊と会話をする練習を始めたところ本当にできるようになってしまい、その会話の内容をブログにされていました。守護霊の指導によって瞑想を続けていくうちに、程なくして「悟り」の体験を得たそうで、私は主に瞑想の効果であるとか、この守護霊の語る宇宙観などについて学んでいました。

 

このあくえりあん氏が持ち前の軽〜い文章で、同性愛とか全然オッケー、という主旨のことを書かれていたのを覚えています。そのときに、そうか自分は「人間の性はこうあるべき」という制限を観念の中に持っていたんだなというのに気づいたのでした。

 

それ以来、ゆるゆると同性愛者の方への意識が変わり始めたように思います。

 

最近では、Netflixオリジナルのテレビ番組で Sense8 というものがありました(未完)。日本語ではセンス8となってしまっていますが、実はこれは センセイト と発音すべきで、Sense 8 と sensate (五感で知覚できる、という意味)をかけ合わせているのですね。世界中に散らばった8人の、誕生日を同じくする男女が特殊能力によって、互いに連絡を取り合うが、その能力のために命を狙われる、というお話です。この中に出てくる Noumi (Know me)という女性は元男性の性転換者で同性愛(実際に性転換者の女優が演技)、また Litoという男性は人気俳優だが同性愛者であることを隠しているという設定です。

 

https://www.netflix.com/jp/title/80025744

 

映像や話も面白いのですが、何よりも衝撃的だったのは、この番組の製作者です。ウォシャウスキー兄弟といえば、一世を風靡した映画 Matrix で知られています。ラリー・ウォシャウスキーとアンディ・ウォシャウスキーの二人ですが、兄の方のラリーが2008年頃性転換をしてラナと名前を変えます。そしてなんとこのSense8が進行中の2016年に弟のアンディも性転換をしてリリーとなったのでした。

 

そう、この作品は、そのような二人が、セクシャル・マイノリティに対する世の中の考え方を変えようという意図を持って作ったものなんですね。実際に、作品を見ていくと、NoumiやLitoの葛藤や危機を視聴者として追体験する中で次第次第に彼らへと感情移入していき、それと共に同性愛への偏見が薄らいでいくように感じます。

 

映画 Matrix については、「あの世に聞いたこの世の仕組み」と「あるがままでいいんだよ」の両方で、それぞれの守護霊さんが、あの映画は「悟り」の体験をSFの形を借りて映像化したものなんだよ、と解説しており、そのような作品を作る二人というのはただのアニメ・オタクなどではない、一体何者なんだろうと大変興味を持って見ていました。

 

V・フォー・ヴェンデッタも面白い作品ですが、輪廻転生をSF世界に描いたクラウド・アトラスも興味深いですね。Sense8の完結編が楽しみです。