昨日全国高校サッカー選手権の決勝戦が行われ、頂点を決める熱い戦いが繰り広げられてましたね!

 

今回の選手権では、トラスト元コーチ、トラスト・ユナイテッドF Cの卒団生が複数名出場するという快挙を遂げました!

 

日本での高校生選手の思いの丈のぶつかり合いに感動しながら、2年間住んだフランスで観戦した高校生の試合を思い出しています。

 

フランスは高校をベースにしたサッカー選手権はないので厳密な比較にはならないのですが、日仏の高校年代のサッカーを比較してみたいと思います。

 

コロナが勃発する寸前の一昨年2月。

フランス中部の県のオンドレジュ(Andrezieux)で、U18クラブ・ユース選手権の一戦を観戦しました。

 


 

移住したばかりのフランスで、日本で観戦した高校生の試合との違いに驚愕したので、感想を書いてみたいと思います。

 

直前にトラスト卒団生自身のU11の試合があり、終わってからこの試合に駆けつけたので、オンドレジュのスタジアムに到着したのは、試合開始寸前。

 

(トラストの選手が所属していた黄色ユニのチームがオンドレジュのフィールドで試合をした時の写真。4部のチームでも素晴らしいフィールドがいくつもあります。)

 

到着した時には、オンドレジュのホームスタジアムはすでに満員で、チケット売り場の前は、列を作らない人々の怒号でパニック状態!

 

ようやくチケットをゲットすると、直後にゲートが閉まり、入れなかった人々が大騒ぎ!

 

スタジアムに入ると、オンドレジュの保護者やサポーターが既にものすごい盛り上がりを見せています。

 

オンドレジュのチームは、他のフランスのチームもそうですが、町全体で応援します。ユースのチームだろうが、サポーターの真剣度や盛り上がりは半端ありません。

 

日本の高校もそのような地域もあるかもしれませんが、応援席は、チームの保護者、卒業生、関係者、そして強豪チームに興味がある育成年代の子たちが中心で、街全体の応援というのは少ないのではないでしょうか。

 

さて、オンドレジュ対リヨンのカード。

 


 

オンドレジュ・ユースは、リーグ4部の下部組織。

 

一方リヨンは、その育成で名を馳せ、育成で世界一とも言われるフランスのベスト3に入るチームです。

 

歴史的にはベンセマなどの有名選手を輩出し、その年のU18も名の知れた選手も多く、カテゴリーのフランス代表選手もいます。

 

リヨンの方はプロになってこの試合に来ていない選手もいて、ベストチームではなかったのですが、オンドレジュも強豪チームでホームゲームとはいえ、リヨンとの実力差は歴然。

 

しかし、なんと開始早々、リヨンのディフェンスのミスで、オンドレジュが先制点を挙げます!

 

その時のオンドレジュのスタンドの盛り上がりと言ったら!スタンドの最前列にみんな出てきて、座っていません!

 

しかし、リヨンの選手たちは、オンドレジュの狂気的な歓声にも動じません。

 

ものすごい攻めを展開していきます。

 

オンドレジュは身を挺して、ギリギリのセーブを見せ、その攻撃の高波をなんとか乗り切っていきます。その気迫は本当に感動的でした。

 

このままオンドレジュがまさかの勝利?!と思った試合終了5分前、オンドレジュのディフェンスがもちこたえきれなくなり、リヨンが素晴らしいゴールを決め、同点に追いつきます。

 

そして、1−1の同点で迎えたPK

 

オンドレジュのホームのサポーターたちは、リヨンの選手にものすごいブーイングで威嚇し、PKを外させそうとします。

 

さすがに、「高校生の試合なのに、観客席はこのマナーでいいのか?!」とびっくりしてしまいましたが、リヨンの選手はすごく冷静で、緊張感を感じさせませんでした。

 

 

リヨンで一番有名な選手は、冷静にゴール前に向かい、P Kを決めた後、敵チームのオンドレジュのサポーターに向かって、「どうだ〜!」というように、手を挙げました。

 

その貫禄がとても格好良く、高校生だけど、もうメンタリティはプロなんだなあと感銘を受けました。

 

リヨンが勝利して終了の笛が鳴ると、フィールドに力尽きたオンドレジュの選手たちが倒れ込みました。

 


 

リヨンの選手たちは、荒れ狂うオンドレジュの応援席の前に駆け寄り、「どうだ!やったぜ!」とばかりに大きく手を挙げて勝利のポーズを取り、威嚇していました。選手たちも観客席も野生に帰ったかのようでした(笑)。

 

日本の高校選手権は、素晴らしいプレーで大変盛り上がっていますが、試合後に相手の観客席に行ってあんなことをする選手はいないと思うし、ダメだと思います(笑)。

 

日本とフランスの高校の試合は、観客の態度や、観客と選手の関係が決定的に違うなと思いました。

 

フランスの試合での圧倒的な個と個のぶつかり合いに、ただただ気押されたのでした。

 

でも、日仏どちらが良いというのではなく、日本の高校サッカーには、フランスにはない素晴らしい友情のメンタリティもありますね。

 

トラスト・ユナイテッドF C卒団生の高校サッカー選手権出場者から聞いたのですが、3年生が、「俺たちは進路も決まっているから、途中出場は2年生に出させてやって」と言って、2年生が出たそうなのです。それは、フランスでは考えられないことです。

 

また、お正月の震災で、石川県星稜高校の応援団が上京することができなくなってしまいましたが、他チームの選手たちが星稜のユニフォームを着て応援しました。これも、フランスでは絶対あり得ないことです。

 

日本の高校選手権は、開会式のご当地行進も楽しかったですね。徳島の阿波踊り、愛知のしゃちほこ、群馬のだるまなどなど。都道府県を背負って戦うのだという伝統は、フランスの街を背負うという気負いとの共通点と言えるかもしれません。

 

文化による差異もありますが、サッカーにかける高校生の思いは一つになって世界中を熱くしていますね。

 

今年の全国高校サッカー選手権は、トラスト・ユナイテッドF Cの卒団生と元コーチが出場して、トラスト・ユナイテッドFCにとってもかけがえのない経験になりました。来年の卒団生の活躍も楽しみにしていますよ〜!

 

2024年もトラスト・ユナイテッドF Cに幸あれ!