たどり着いた場所は洞窟ではなくただの部室だ。
こんな場所に部屋があるとは、普通気付くまい。
人なんていやしないと思っていたが、1人居た。
何となく此処の学校の生徒ではない様に感じた。
大きな音を立てて入ったが、気付いてないのか、
本で顔を隠すようにして静かに頁を捲っていた。
そもそもどうしてこの部屋に居るのだろうか?
まず気持ちを落ち着けてから、あるものを探す。
そっとしておくべきだと俺の本能が告げていた。
ふと声が聞こえたと思い、住人に視線を移した。
おそるおそる話しかけてみようとしたがやめた。
まばたきをした瞳に見覚えが―そう思った矢先、
俺に初めて気付いたかのように彼女は見上げた。
問いかけるような瞳に俺は思わずドキッとした。
探るような視線なら即座に話しかけただろうが、
何よりも彼女に魅せられて思考が一瞬止まった。
「あのさ、俺、ここに忘れ物を取りにきたんだ」
我ながら情けない声だった。少し緊張していた。
また何やら声が聞こえる。一体何の声だろうか?
静かな部屋でみつめあう二人。どうも気まずい。
揺らがない彼女の瞳の奥に俺自身が映っていた。
「もしかして、これのこと?」
そう言い、本にしか見えないそれを差し出した。
俺は罠だと直感した。何か妙な胸騒ぎを感じる。
人なのか、こいつは?―正直そこまで邪推した。
暮れかかる黄昏時、満面の笑みを浮かべる彼女。
かなり不意を打たれた俺は適当に返事をすると、
つい聞いてはいけない質問をしてしまった―。
こんな場所に部屋があるとは、普通気付くまい。
人なんていやしないと思っていたが、1人居た。
何となく此処の学校の生徒ではない様に感じた。
大きな音を立てて入ったが、気付いてないのか、
本で顔を隠すようにして静かに頁を捲っていた。
そもそもどうしてこの部屋に居るのだろうか?
まず気持ちを落ち着けてから、あるものを探す。
そっとしておくべきだと俺の本能が告げていた。
ふと声が聞こえたと思い、住人に視線を移した。
おそるおそる話しかけてみようとしたがやめた。
まばたきをした瞳に見覚えが―そう思った矢先、
俺に初めて気付いたかのように彼女は見上げた。
問いかけるような瞳に俺は思わずドキッとした。
探るような視線なら即座に話しかけただろうが、
何よりも彼女に魅せられて思考が一瞬止まった。
「あのさ、俺、ここに忘れ物を取りにきたんだ」
我ながら情けない声だった。少し緊張していた。
また何やら声が聞こえる。一体何の声だろうか?
静かな部屋でみつめあう二人。どうも気まずい。
揺らがない彼女の瞳の奥に俺自身が映っていた。
「もしかして、これのこと?」
そう言い、本にしか見えないそれを差し出した。
俺は罠だと直感した。何か妙な胸騒ぎを感じる。
人なのか、こいつは?―正直そこまで邪推した。
暮れかかる黄昏時、満面の笑みを浮かべる彼女。
かなり不意を打たれた俺は適当に返事をすると、
つい聞いてはいけない質問をしてしまった―。