みせるのはあなただけ | True Blood Love -Last Song-

True Blood Love -Last Song-

2人で奏でる歌

暑い…。

何だこの暑さ…。

マジ死にそうに暑い。

 

「煩いね!!ただでさえ暑いんだから、暑い暑い繰り返すんじゃないの!!」

 

家にある扇風機全部をフル稼働させても、連日の猛暑に、部屋の中はもんもんとした熱気に包まれてて、家にいる母さんに怒鳴られる。

ユノ家、ただいまエアコン故障中です。

 

「修理いつ来んの?」

 

「夕方よ。この猛暑でエアコンの取り付け追いつかないって。小さい子供がいる所が優先だって」

 

「え~子供ならここにもいるんだけど」

 

「そんな図体のでかい子供は、水風呂にでも浸かってな」

 

暑さでイライラしてるのはお互い様。

それでも、母さんは汗かきながら家事してるから凄いけど、夏休みな俺は宿題してたら頭が茹った。

 

「こんにちは~」

 

「こんちは~~」

 

ふいに玄関から聞こえてきたのは、お隣さん。

 

「ゆのにーちゃ、あっちゅいね」

 

「おージェジュン。あっついだろ~。倒れそうだわ」

 

半袖にショートパンツなジェジュンが、とことことやってきて、手に持ってた小さな団扇で俺を扇いでくれるのが可愛いい。

 

「エアコン故障しちゃったって聞いて、こんな暑いと熱中症になるでしょ。うちに涼みに来て」

 

「でも、そんなの悪いわ。業者の人も夕方くらいってしか言わなかったから、何時に来るか解らないもの」

 

「なら、御用の方は隣までって張り紙しておいたら?留守なのは解っちゃうけど、泥棒が入ろうとしたって、うちからはすぐに確認できるだろうし」

 

「いいのかしら?さすがにちょっと暑さでフラフラしてて」

 

「いいのよぉ。今度、この間お裾分けで頂いたおかずの作り方教えてくれる?ちゅんあが美味しいって沢山食べてくれたの」

 

「おばちゃ、おいちーだよ」

 

「あらあら、本当?ユノもあれ大好物なのよ」

 

「ゆのにーちゃも?ちゅんあといっちょ!!」

 

「良かったわねー。将来の旦那様と味の好みが一緒で」

 

「あい!!」

 

暑い中、呑気にそんな事を話してるけど、本気で暑くて倒れそうな俺は、洗面所で水を頭からかぶって応急処置中。

 

「ユノ、キムさんが呼んでくださったから、戸締りしてお邪魔するわよ」

 

「戸締りしたって、たいしたもんねぇのに」

 

「煩いね、まったく反抗期だといちいち突っかかってくるんだから」

 

「ゆのにーちゃ、ちゅんあのおへや、すずしーなにょ」

 

「じゃあ、ジェジュンの部屋に行こうか」

 

「あい!!」

 

熱中症になる被害は、お隣さんのおかげで助かった。

家にお邪魔すれば、もう玄関から涼しくて、天国かと思ったくらい。

 

「ユノくん、ちゅんあの部屋ね、あの子ってばユノくん呼ぶからって冷房利かせすぎてるから、頃合いみて温度あげてくれる?風邪引いちゃうから」

 

「解りました。ジェジュンに気づかれないようにしておきます」

 

「お願いねー。本当にあの子極端だから」

 

「知ってます」

 

俺の為に、もっと部屋を涼しくさせたいって駄々を捏ねたらしいジェジュンに、俺もおばさんも苦笑して。

早く早くと小さな手が手招きするのに、今行くから後を追いかける。

 

「うおっ!!冷え切ってるな~」

 

「ね!!すずしーなにょ」

 

まだまだ火照ってる身体には、心地良いけれど、さすがにこれは、おばさんの言う通りジェジュンが風邪ひく。

 

「ジェジュン、こんな涼しい部屋にいて寒くないの?」

 

「う?ゆのにーちゃ、あっちゅいから、すずしーにしたにょ」

 

「そっか。ありがとうな」

 

どうやら自分の事より俺の事が優先になってしまっているジェジュンに苦笑して、風邪ひかないようにと、抱き上げれば、案の定、腕も足も冷え切ってた。

 

「ジェジュンの身体、冷たくて気持ちいいな」

 

「ふふ…ゆのにーちゃ、ぽかぽかちてりゅ」

 

「ジェジュン冷たいから、こうして抱っこしてていい?」

 

「あい!!ちゅんあ、ゆのにーちゃにだっこちてもらうのしゅき」

 

「そっか」

 

まだ小さい身体を腕の中に閉じ込めて、冷え切った身体を温めてやる。

嬉しそうに笑顔を見せて、俺の腕の中で、家で出来るプールを買ってもらった事の話や、そのプールで一緒に遊びたいと強請ったりされた。

 

「ぷーりゅ、ちっちゃいかりゃ…ゆのにーちゃ、はいれりゅかにゃ?」

 

本気でそんな心配をするジェジュンに、絶対に入れないだろうなと思いながら、

 

「俺が入れなくても、一緒に遊ぼうな」

 

「あい!!ふふ、ゆのにーちゃとぷーりゅ。あのね、かわゆーなみじゅぎもありゅのよ」

 

「そっか、可愛い水着か…見るの楽しみだな」

 

「ままがね、ぷーりゅはいりゅのに、はだかんぼだめって」

 

「そ、そうだな…裸はな」

 

「おにわでしゅるから、みんなにみられちゃうって」

 

小さな子供が自宅の庭先で、小さなプールに裸で遊ぶなんて、良くある事なのに。

ジェジュンがすると、なんていうか危険度が違う気がする。

 

「じゃあ、その時は、俺がみんなから見られないように、こうして隠してやるから」

 

「ほんと?じゃあ、みじゅぎきにゃくてもいい?」

 

いいよと返そうとして、ふと思い止まる。

ジェジュンが水着をきないでいるって事は、白い肌とか、ぷるっとしたお尻とか…全部丸見えな訳で。

なおかつ、そんなジェジュンを今みたいに腕に抱き締めるっていうのは…。

 

いかん…。

まだ現れてもいない変質者よりも、俺が一番危険かもしれん。

 

「で、でも…ジェジュンは、少し大人になったから、やっぱり水着は着た方がいいと思うぞ」

 

「うにゅ?おとにゃはみじゅぎきりゅの?」

 

「水着来てないのは、ちっちゃな子だけだろ?水着が着れるっていうのは、少し大人になったって事だし」

 

「ちゅんあ、みじゅぎきりゅ!!しゅこちおとにゃだかりゃ!!」

 

「そうだな…俺のお嫁さんが、俺以外の奴に裸見られた嫌だな…」

 

「あい!!」

 

元気よく手を挙げて、どうにかジェジュンが裸でプール遊びするのは防ぐ事が出来た。

 

「ふぁ…あちゅいのやだけど、あちゅくないと、ぷーりゅできにゃい、ね」

 

「そうだな…。プール遊びはまた今度やろうな」

 

腕の中で、あくびをしてウトウトとし始めるジェジュンの頭にキスを落とすと、小さな手が俺のTシャツをギュッと掴む。

そんな小さな仕草が可愛いなと思いながら、リモコンの温度を上げると、ジェジュンのベッドに一緒に横になる。

 

「大人になったら、プールなんて連れていけないかもな」

 

白い肌を誰にも見せたくないなんて、いつからこんなにジェジュンに対して独占欲が強くなったんだろう。

 

すぅすぅと眠り始めたジェジュンと同じように瞼を閉じる。

夢の中では、大人になったジェジュンじゃなくて、可愛い今のジェジュンがプールではしゃいでる姿だったけれど、それは、それで可愛かった。

そんな急いで大人にならなくたっていいよと声をかければ、ぷくりと頬を膨らませて、

『ちゅんあは、はやくゆのにーちゃのおよめしゃんになりたいにょ』と拗ねていた。

 

 

 

 

「ちゅんあ、お風呂入るわよッ!!」

 

「やっ!!ゆのにーちゃだけなにょ、ちゅんあのはだかんぼみりゅの!!」

 

俺の家のエアコンも直った晩に、お隣さんからのSOS。

 

お風呂に入らないジェジュンの理由が、そんな理由で、俺は頭を掻いた。

 

「ユノくん…ちゅんあが、ユノくんしかダメって聞かないのよ」

 

「ちゅんあは、ゆのにーちゃのおよめしゃんだかりゃ、だれにもみしぇにゃいにょ!!」

 

「ジェジュン…家族は良いから。俺のお嫁さんになっても、家族には見せても大丈夫だから、ちゃんとおばさんの言う事聞いて」

 

「だって、ゆのにーちゃが…」

 

「…解った。解ったから…。おばさん、今日だけ俺がジェジュン風呂に入れるから、それまでに何とか誤解といておくんで」

 

「ごめんねユノくん。ちゅんあ極端で…」

 

「知ってます。まぁ、ちょっと俺の言い方もまずかったんで、すいません」

 

えぐえぐと泣き始めたジェジュンを抱き上げて、結局、一緒にお風呂に入って、そのまま泊まる。

何とか誤解は解けたけれど、極端なジェジュンの考えでも、俺だけにしか見せたくないって思ってたのが嬉しかったのは、もう少し内緒にしておこうと思う。

 

 

 

END