第55章は、「規模のマネジメント」です。まずは今日の一言から。<ドラッカーの言霊>
規模の誤りは、組織にとって体力を消耗させる業病である。
『マネジメント<下>』 1973年 p.90◆D1のコメント
それは、ありふれた病であるとドラッカー教授は指摘します。さらに続けていった言葉が面白い。「治療は可能だが、簡単でもなければ楽でもない。 この病にかかったものの多くは、必要な薬の服用を拒む。彼らが好む治療はいんちき療法であり、病いを悪化させ慢性化させる療法である」とした。「規模の適切さ」が第53章のメインテーマでした。規模の大小は組織の複雑性に大きな影響を与えます。さらに、その複雑性によりマネジメントスタイルが異なることを第54章で詳細に示しました。そのうえで本章「規模のマネジメント」があります。規模自体をマネジメントしようとするものです。単に成長すればいいということではないことは、前2章のとおりです。適切な規模で事業を運営すること、不適切な規模で事業を運営しないためには、どうすればいいのか。それが本章のテーマです。まず不適切な規模であるかどうかの判断です。その点、ドラッカー教授は「診断は容易である」と述べ、「兆候は同じである。常に同じである」としています。その前に不適切の規模とは、必要最低限の規模を満たさないものと規模の最適性を超えて大きくなったものに大別されます。さて発見のポイントは2点です。□肥大化した分野・活動・機能はどこか
□著しく努力を必要とし多額の費用を必要としながら、成果をあげられない分野はどこかこれらの分野が他の分野の利益を吸い上げます。体力を消耗しつくす前に、対策を打たなければなりません。不適切な規模にある事業の存在は企業活動に関する本質を教えてくれます。規模が不適切な企業活動は成果をあげにくく、生産性の悪い活動ということができます。活動には成果に関わらずコストが伴います。成果があがらなければコストの塊です。コストを回収するのは、成果のあがる活動によりもたらされる売上によってです。コストに注目することは容易ですが、活動に注目することが求められます。活動管理はコスト管理以上に重要です。不適切な規模の事業をかかえることは、組織の存続性に影響を与えます。早期の発見と対処が求められます。不適切な事業や活動の延命策こそドラッカー教授が「いんちき療法」と指摘したものです。病を悪化させ慢性化させないためにも、正しい処方を理解していなければならないのです。
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