2026/01/09
雪白ひかり
【出身地】札幌/高校1年生
冬休みの夕方。
札幌の住宅街は、平日でもどこか静かだ。
部屋にいてもよかったけれど、
ひかりはコートを羽織って、少しだけ外に出た。
目的はない。
ただ、家の中にいるより、
外の空気を吸いたかった。
雪は細かくて、音がしない。
足元の雪を踏むと、きゅっと小さな音がする。
コートの前を留めて、
マフラーを首まで巻き直す。
吐いた息が白くなって、すぐに消えた。
歩道の端で足を止めて、
ひかりはポケットから一枚の紙を取り出す。
折り目のついた手紙。
もう何度も読んでいる。
それでも、
今日はもう一度、ちゃんと読みたかった。
街灯の下で紙を広げると、
鉛筆の文字が少しだけ薄くなっているのが分かる。
「今日は寒いね」
「冬休み、ちゃんと休めてる?」
「無理してない?」
「体冷やさないでね」
ひかりの事を気遣って書かれた言葉
というのが、わかる
冬休みは、
時間がある分、考えることも増える。
何をするわけでもない日。
予定がない日。
それが続くと、
理由もなく不安になることがある。
ちゃんと休んでいるはずなのに、
何かを置いてきた気がする。
そんなとき、この手紙を読むと、
気持ちが少しだけ落ち着く。
大丈夫だと言われたわけじゃない。
答えが書いてあるわけでもない。
ただ、
ひかりのことを思っている人がいる。
それが、ちゃんと伝わってくる。
ひかりは手紙を丁寧に折り直して、
コートの内ポケットにしまった。
雪が少し強くなって、
三つ編みの先に小さな粒が乗る。
溶ける前に、きらっと光った。
今日は何かを成し遂げた日じゃない。
でも、悪い一日でもない。
冬休みは、
こういう日があっていい。
ひかりは、
来た道をゆっくり引き返す。
急がず、迷わず、
自分の歩幅で。
雪白ひかりは、
札幌の冬休みの夕方の中で、
今日の気持ちをそのまま持ち帰っている。
あなたの明日も守られますように🌟
読んで下さり有難うございます






