部屋の窓から
薄暗い空に浮かぶ
きれいな下弦の月
白くてまばゆい
下弦の月あかりが
それでも
水平線を照らすほどでもなく
ぼんやりと
空と海の境を感じさせる
よく冷えた
朝のことでした
布団を元通りにたたんで
身支度を整えていると
6時30分きっかりに
宿の女将さんが
朝食の用意ができたと
呼びにきました
まだ疲れが残っているのか
ぎこちない足取りで
階段を下りていき
食堂でいただく朝ごはん
そのお膳の横には
大きなおにぎりがふたつと
バナナがひとつ
それに幾つかの飴が入った
手提げ袋が添えられてたので
女将さんに尋ねると
「今日もたくさん歩くからね、
お接待します」と
その時の女将さんの笑顔…
とても印象的でした
それは
きのうの朝のこと
出立前に駅近くの喫茶店で
珈琲のモーニングを食べたあと
レジで支払おうとしたら
オーナーの奥さんが出て来て
「お代はいただきません、
お接待します」と
僕の手をひっこめた時の
奥さんの笑顔とも重なり
恐縮しながらも
そのご厚意の施しに
感謝の気持ちで
なんとも心が
いっぱいになりました
「今日、見れるといいわねぇ…
だるま朝日」と女将さん
「もうそろそろ夜明けですね」
急いで食べ終わると
宿から飛び出し
すぐ目の前に広がる
水平線をじっと眺めてみました
あ、出た!
水平線のかなたに浮かぶ
一隻の船影の後ろに
太陽の輪郭が見え始めた







