巷では好評の本映画ですが、自分はしばらく経ってももやもやが収まらない為ぶちまけたい。
流石に映画感想サイトに書くには長すぎたので、そっちは消してこちらの場を借りたいと思います。
ちまちましたためた文章はこちら
正直厳し目に言って期待外れ
ジャングルポケット自身のバックボーンが見えないせいで勝ってほしいとは思えず、レースに気持ちが乗らなかった。たまに話に出てくるフリースタイルとは何なのかの説明があれば、少しはジャングルポケットがなぜ最強になりたいのかが伝わったと思う。あとジャングルポケットの大げさな動作と声優さんのクールな演技が所々噛み合っておらず、違和感があった。
作画は物凄く綺麗だったし、レース表現も色々工夫してて凄かった。
全体的にストーリーの流れを優先していてキャラがあまり生きていなかったように見えた。「本能」というテーマで作られるに当たって主軸がタキオンであったことから、タキオン自身のキャラはとても生き生きしていた。しかし、ポッケ含め他のキャラはそのテーマに添うように動かされているかのようにキャラの感情が薄く思えた。その理由は順に説明していく。
まずこの映画で応援したいと思うウマ娘がいなかった。強いて言えば、楽しそうに走っていたフジキセキがまたレースに戻れたらとは思ったが、それは望めないのはわかっているので省く。
その理由として、他主要キャラ誰にも感情移入が出来なかったからだと思う。
この映画ではウマ娘は本能で走ると表現されているが、そもそもウマ娘は人間の形をとることで実馬の実際のエピソードから走る意味をわかりやすく肉付けされ、そして一生懸命走るからこそ面白いのではないかと思う。
前作のRTTTでは走る意味には本能ではなく、それぞれ別の思いがあった。だからこそ、見る側は感情移入することができるし、自分はとても面白かったと感じた。
それを本能だからと言われてしまうと、また自分たちとは違う世界の話のようになってしまい「ウマ娘」の良さが失われてしまっていると思う。
タキオンはウマ娘の原理を調べたい、可能性の果てを知りたいという思いがあるため、タキオン自身はその理由でかまわないと思う。だが、それ以外のウマ娘には別の理由があるはずだが、特に深掘りはされず「本能」という枠組みから抜け出せていないように見えた。
自分が感じた映画の流れとしては、最強になりたいポッケが同期と練習するけどタキオン以外のウマ娘の走りたい理由は深掘りされず、ポッケはがむしゃらに走っただけでダービーに勝ち、何故かダービーに勝ったのにずっと悩み続け、それを見たフジキセキが自分自身の影を諦めずに追いかける姿を見せて奮い立たせ、いきなり話に出てきたジャパンカップに勝つ。というものだった。
これだけのキャラがいる中できちんと描写されているのがポッケ、タキオン、フジキセキのみ。そのため映画を通して話の肝がタキオンをもう一度走らせること、闇ポッケを打ち壊すことだけであり、それを108分は流石にテンポが悪い。
しかもマンハッタンカフェ、ダンツフレームは主役ポッケ除いてはタキオンと並んで主要キャラである発表だったのに、4人の関係性は深まらず、ただ練習するだけ。タキオン↔︎ポッケの関係性しか深掘りされてなかったし、カフェとダンツはそもそも描写自体が少ない。
マンハッタンカフェは最初のへろへろな弥生賞はしっかりやるのに菊花賞がダイジェストだから、最初の印象を拭いきれてないまま終わってしまったように思える。その印象のせいであの子に追いつきたいって言ってるけど、本当に追いつけるの?とこっちは疑問に思っていたが、最後までおともだちは何の絡みも説明もなく終わるという。
ダンツフレームも節々でキャラを表す為の必要な描写は最低限されてはいたが、結果的に可哀想なキャラだと思う。
理由として
・ダンツのことなどほぼ眼中にないポッケに負ける。
・そのポッケが自分は最強じゃねえってずっと落ち込んでて、まるでダンツに勝っても大したことねえみたいな失礼ムーブをし続ける。←終盤にカフェが「調子戻ったみたいですね。」と言っていたから、カフェとダンツは何かおかしいことは察してたはず。
・でもタキオンで頭いっぱいのポッケにも落ち込んでるポッケにもダンツとカフェは特に何もしない。遠くから眺めて練習してるだけ。
遠回しに軽んじられても何もしない悪い意味での癒し枠。ポッケを闇堕ちさせるならこの二人が喝を入れるとかすれば良かったのに、本当に同期としてのつながりが薄い。
でも何故か細かい描写にそれぞれ時間をかけ過ぎている(ポッケの反応の間延び感、取り巻きトリオの反応、無駄に多い変わり映えのない練習シーン、闇ポッケ自体の描写など)。
タナベトレーナーにも必要な描写が足りていないと思った。トレーナーのダービーを特別に思う理由が先輩に言われたからだけでは正直重みに欠けるし、トレーナーが言えることは全てフジキセキでも言えると思った。ウマ娘同士にしかわからないことがある、と言ってしまうのであればそもそもこの話にトレーナーはいらなかったのではないか。というか終盤メンタルケアは全てフジキセキがやってたし。正直、トレーナーは感動させるための要因にしか感じなかった。
史実要素であるのはわかるけど、だったらもっとフジキセキのことでトラウマになってポッケにハードスケジュールをさせられないタナベトレーナーとか、それでも聞かず最強になりたいから自分でどんどんやっちゃうジャングルポケットに本気で怒って「無事に走られるだけでもいい」と真意を告げたりとか、もっとイベントを描写した方が良かったんじゃないのか。それで絶対に勝って尚且つ無事に帰ってくるってトレーナーに約束してダービー勝つジャングルポケットの方がカッコいいし。もっとトレーナーにしか言えないことも言って欲しかった。
結局映画ではトレーナーが「走れるだけいい、お前は走る意思がまだある」→ポッケ「フジ先輩と約束したし出る」のふわふわした出バになって全然ダービーがワクワクしなかった。
あとトレーナーを安西先生に寄せないようにとはパンフに書いてたけど、自分は阿笠博士にしか見えなかった。もうタナベトレーナーが無個性すぎて声にキャラが食われてた。
トリオはポッケの昔の深掘りが無い時点で相対的に繋がりに重みが無いし、3人も居るせいで尺が無駄に食われているように感じた。しかも毎回しっかりレースを応援しに来ているのにポッケのメンタルケアには全く役に立たなかった。というかこれだけ出番あったんだから、なぜ脚本はもっとこの3人を活躍させなかったのか。出来ないなら居なくていいのと同じだろ。
ストーリー展開にも納得できないことが多かった。ダービーまでに闇ポッケを打ち壊さなかったせいでなぜポッケが勝てたのかがわからなかった。でもダンツフレームもバックボーンの描写がほとんど無いから勝つ理由が乏しい。だから終盤に抜け出してくる二人に違和感を感じたし、応援する気持ちが湧かなかった。そのまま勝ったポッケが吹っ切れたように咆哮を上げることにも違和感があったし、しかも別に吹っ切れてなかった。タキオンがいないままの勝利に対しての虚しさに対する叫びとしても、いやだからダンツの立場…となるし、だとしてももっとモチベ取り戻した描写がいるだろう。そもそもダービー後は闇ポッケのせいで負け続けてる描写があるし、勝つ展開自体に矛盾があると思う。
ダービーに勝つ理由づけをするなら河原の並走でポッケを奮い立たせる描写はダービー前にして、闇ポッケを壊すのはダービーが良かったと思う。そうすれば咆哮にも説得力が出るし、今後この闇を乗り越えたポッケはどんな走りをするんだろうかと期待を持って映画後半を見れる。そしてマンハッタンカフェのおともだち等の深掘りにつなげて菊花賞ではそれまで明かされなかったカフェの強さを描写して、「この世代でシニア級ぶっ潰そーぜ!」みたいな流れでシニア級のウマ娘との対決が見たかったなあ。ポッケにはそういうキャラを期待してた。
あと正直闇ポッケの描写がダサいし長い。タキオンの影に追いつけないポッケを心理描写として描けばシンプルで済むのに、いきなり出てきた闇ポッケに「勝てねーよ」とずっと連呼されてもネガティブ表現が過ぎて「いやそんなキャラだっけ?」と本来のキャラとどんどん解離していってるように感じた。元々ネガティブなキャラがそうなるのはわかるけど、色んなやつと戦ってきたらしいポッケならがむしゃらに強いやつと戦う方がらしいと思う。
期待してたシニア級のウマ娘の描写も物足りなかった。テイエムオペラオーの前人未到のレースをテレビ越しで見るせいで臨場感が薄く、しかも終盤からレースが始まる。そもそもこのレースの盛り上がりの一つは、先行馬のオペラオーがマークにより終盤まで前に出られないことだと思う。それを中々前に出られない描写もほぼせず台詞だけで表現するし、ちゃんとしたレース描写が終盤からでは魅力が半減しているように感じた。そのせいで前に出れないことへのハラハラ感が出なかったし、あの名実況でも特に盛り上がらなかった。盛り上がらない分、スパートの踏み込み描写が長すぎてダサく感じた。「テイエム」連呼が史実より多いのも短い直線が長いように感じるから変えないで欲しかった。
そしてテレビを見てからトゥインクルシリーズ現最強であるオペラオーにはなぜか戦線布告に行かないポッケ。終盤強いやつが出るからジャパンカップに出るとポッケは言うが、作中でジャパンカップの説明がこのポッケの説明のみなので、その凄さがいまいち伝わらないし出る理由も薄い。 ここで戦線布告でも何でも絡んでいればジャパンカップに出る理由付けがもっと自然に出来たし、より見る側は対決が楽しみになったんじゃ無いかと思う。戦線布告に行く中でオペラオーと共にいるメイショウドトウの最近の様子を描写したりもできただろうし、これも惜しいポイントだと思う。同じシルコレで尚且つ脱却が宝塚記念勝利のダンツとドトウとか色々展開させられそうだし。というかこの映画でドトウをしっかり描写しないで今後どこで活躍を見られるんだろう。この映画でオペラオーを活躍させた扱いならもうドトウも無理じゃん。
でもトプロはやっぱり可愛いなあ、いいなあと思えた。沖田トレーナーと変わらず切磋琢磨しているのがとても嬉しかった。そしてアヤベさんが楽しそうで何より。特典小説も素晴らしかった。
ジャパンカップも勝ち確BGMみたいな爽やかな音楽が初めから流れてたのも台無しだった。あんだけPVでラスボスみたいに表現されてたオペラオーに対して何の苦戦もせず、他ウマ娘も大した台詞はなく、レースが短いせいでさらっと劇画風作画にして勝ったように見える。ガッカリ感が凄まじかった。
シナリオで数少ない良いと思った展開は、ポッケがタキオンの部屋に行く時の様子が段々変わっていく所はしっかりポッケの成長を表現出来ていると思った。最初はタキオンに掴みかかるように戦線布告、次には何で走らないんだと詰め寄り、フジとの並走後にはタキオンと走りたい、だが無理はしなくていいと柔らかく誘うようになるという変化があった。
皐月賞後はただ自分がタキオンをもう乗り越えられないのが怖いからと、タキオンにもう一度走れと焦りの感情をぶつけていたように感じた。そこからフジとの関わりで走れないのはきっと理由があるし、タキオンがいなくても走り続けると決めタキオンを気遣える程にまで心を成長させたと感じることができたシーンだった。まあポッケがまだ弱々しいのが気になるが。
しかしこの流れもカフェやダンツ、シニア級の深掘りも無く終盤で展開されるため、やっとこの段階かよとも思わされた。そして予想通りジャパンカップは薄味になっていた。
同じく描写の積み重ねとしてタキオンが最後走り出すところもとても良かったが、薄味のジャパンカップでプラマイゼロだった。
映画全体での違和感をまとめると
・強いやつと戦うことが大好きなアウトロー精神の持ち主であるポッケが、自分のネガティブな影に悩み続けてただトレーニングし続けるだけ。強いやつがいっぱいいるはずなのに何故かタキオンに固執して現最強のオペラオーに戦線布告に行かない。
・レースに出ていないタキオンを意識し続けるポッケに特に怒らないダンツ。一緒に食べに行く仲なのにポッケが落ち込んでる時は遠くから眺めてるだけ。
・同じくポッケの調子が悪いことを察していたはずのカフェも何もアクションを起こさない。カフェ自身も調子が悪い時があって気持ちがわかるはずなのに、それを全く活かしていなかった。
・ダービー時点でもタキオンのことを吹っ切れていなかったのに勝つ。なのに次のレースからはそれで負け続ける。ダービーに勝っても最強かわからないことをダービーに出たくても出られなかったフジに言うのは酷じゃないか。
以上
3回見ての感想。1回目を見た時は本当に辛かった。1年楽しみにしていたのにこのがっかり感。買ったグッズが虚しく思えた。
2回目を見る時はかなり退屈だった。初回はまだここから盛り上がるんだと期待できたけど、どこにもそれはないとわかると次から何でこの映画見てるんだろうと思い始めた。
3回目は見納めの気持ちだった。レースはすごいけどやっぱりキャラにのれないなあ、と渇いた目で見てた。
この映画に作画のリソースを割くぐらいならRTTTの編集版作画修正に力を入れて欲しかった。
以上
ほぼ批評してる人がいない中、自分だけもやもやが未だに消化出来なかったので、ここにウマ娘新時代の扉に対する憎しみの墓を立てます。
さらば