ある無名兵士の詩 | 蟹、退治中 (乳がん生活)

蟹、退治中 (乳がん生活)

2012年12月 乳がん告知
13年2月 右乳房切除術(HER2 3+、ER +、Pgr -、リンパ管侵襲あり)
3月から抗がん剤(AC)、ハーセプチン、ホルモン療法の
術後治療を提示されるも、若き主治医の方針は一転、二転。
主治医を変え、ハーセプチンとフェマーラで治療中に
転移発覚

ほとんど独り言。
 
 
『苦しみに会ったことは、私にとってしあわせでした。
私はそれであなた(神)のおきてを学びました。』
(詩篇より)
 
 
クリスチャンなので聖書を読む機会が多い。
去年読んだ中で特に心に引っかかったのが
この言葉だった。

こんな風に言える人は幸せだな。
苦しみなんて誰だって避けて通りたいじゃない。
それをしあわせって言っちゃうなんて、
よほど信仰の篤い人だな。
それでなきゃお目出度い人?
私はそんな風になれないなあ。
 
最初はそう思った。

でも他の箇所を合わせて読むと、
苦しみ=幸せではないことがわかってくる。


『・・・患難さえも喜んでいます。それは、患難が忍耐を生み出し、忍耐が練られた品性を生み出し、練られた品性が希望を生み出すと知っているからです。』
(ローマ人への手紙より)


苦しみを通して初めて得られる物がある、ということ。
 
最初の聖書の言葉は、
苦しみのただ中にいる時ではなく
過ぎた時を振り返って言っているのだろうか。



以前牧師が教えてくれた
「ある無名兵士の詩」を時々思い出す。
 
元はインディアンの詩だったのを
南北戦争の従軍兵が持ち帰り、
今はニューヨークのリハビリ病院の壁に
掲げられているとのこと。



A CREED FOR THOSE WHO HAVE SUFFERED
「悩める人々への銘」

I asked God for strength, that I might achieve
I was made weak, that I might learn humbly to obey...
「大きなことを成し遂げるために 強さを与えてほしいと神に求めたのに
謙遜を学ぶように 弱さを授かった」

I asked for health, that I might do greater things
I was given infirmity, that I might do better things...
「偉大なことができるようにと 健康を求めたのに
よりよきことをするようにと 病気を賜った」

I asked for riches, that I might be happy
I was given poverty, that I might be wise...
「幸せになろうとして 富を求めたのに
賢明であるようにと 貧困を授かった」

I asked for power, that I might have the praise of men
I was given weakness, that I might feel the need of God...
「世の人々の称賛を得ようとして 力と成功を求めたのに
得意にならないようにと 失敗を授かった」

I asked for all things, that I might enjoy life
I was given life, that I might enjoy all things...
「人生を楽しむために あらゆるものを求めたのに
あらゆるものをいつくしむために 人生を授かった」

I got nothing that I asked for―but everything I had hoped for
Almost despite myself, my unspoken prayers were answered.
I am among all men, most richly blessed!
「求めたものは一つとして与えられなかったが
願いはすべて聞き届けられた
私はもっとも豊かに祝福されたのだ」


訳はネットでよく出回ってるのをお借りしたけど、
「得意にならないように」の所は
「神を求めることを覚えるように」の方が
クリスチャンとしてはしっくりくるかな。

 
 
 
最初にこの詩を知った時(乳がんになる前)は
漠然と、いい詩だな、と思った。
 
 
転移骨折の後のドセタキセルの時は
この詩がリハビリ病院に掲げられてる、っていうのが
キモなんじゃない?って思った。
だってリハビリっていうのは、
多少なりとも今より良くなるだろう、っていう
希望があるじゃない?
ドセの時の、将来に希望を持てない状況の時は
この詩は全然心に響かなかった。
 
 
今、状況としては
その時より良くなっているとは言えない。
それなのに、この詩はやっぱりいい詩だと思える。
たぶん、そうなるための時間が
私には必要だったんだろう。
一度沈んで、浮き上がった時に、
初めて見えてくる景色がある。
 
 
 
苦しみにあったことはしあわせ?
う~ん。
できれば他の道を通りたかったけど。
でも今が不幸せかと言ったら、そうじゃない。
 
願いがすべて聞き届けられたかどうか
確信できないとしても、少なくとも、
私に必要な物は全て備えられているのだ

と思えるから、

それでいいんだ、きっと。
 
 
 
願わくは、いつの日か、最期を迎える時にも
このような感謝をもって
人生を閉じることができますように。
 
 


 

 

 

知っている人、知らない人、有名な人、
毎日のようにどなたかががんでこの世を去っていく。


多くの人に勇気を届けたあなた、闘病お疲れ様でした。
ご家族に休む時間と慰めがあるようにと祈ります。

 

 

 

そして、沖縄慰霊の日。

すべての人の上に平安を。
 

ありがとうございます

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