「ガシャポン」「ガチャ」などと呼ばれるカプセルトイは、子どものころに何度も買った記憶がある人が多いだろう。以前は子ども向けの玩具が中心だったが、ここ数年は大人がハマる商品が増えているのだ。
なかでも売れているのは、くすっと笑ってしまうようなユニークなカプセルトイだ。このブームのきっかけになったのは、奇譚クラブが2010年6月に発売した「シリーズ生きる 土下座ストラップ」だ。
土下座ストラップは、「コレジャナイロボ」などのユニーク玩具を生み出すことで知られるザリガニワークスからの持ち込み企画。「面白そうだから」という理由で作ることになったという。カプセルトイはキャラクター玩具が多いなか「他社にできないものを作る」という奇譚クラブのポリシーにマッチしたのも大きいはずだ。
発売してみると、担当者が「こんなに売れるとは思わなかった」というほどの反響だった。一般に大手メーカーでも1種類のカプセルトイの生産数は10万個程度といわれるなか、土下座ストラップは発売から約1年半たった2011年11月時点で累計100万個を超えるヒット作となったのだ。「ヒットした理由ははっきりとは分からない」(奇譚クラブ)というが、「面白い」「ネタになる」と購入した人が多く、Twitterやfacebookといったソーシャルメディアなどで話題になったことも大きい。カプセルトイでも“面白い”ことが受け入れられる下地ができたのだ。●400万個に迫る勢いで売れている「コップのフチ子」
さらに、土下座ストラップを超えるヒット作となったのは、奇譚クラブがマンガ家・タナカカツキ氏と共同開発し、2012年7月に発売された「コップのフチ子」シリーズだ。
「今までなかったカプセルトイを作りたかった」(奇譚クラブ)というだけあって、グラスやコップの縁に置いたり、ひっかけたりするマスコットの目新しさはピカイチ。実際にデスク脇に置いたコップにひっかけておくだけで、なぜか心がなごむ。
さらに、かわいくてフォトジェニックなキャラクターはソーシャルメディアにもぴったりだった。「写真を撮ってTwitterなどにのせれば、それだけでひとネタになる」ということもあって反響は大きく、発売後1週間で10万個以上を出荷。新色を随時投入したものの売り切れが続出し、ネットショップでプレミアが付くほどに。2013年6月には第2弾の「コップのフチ子2」が発売され、累計400万個にせまる勢いで売れている。またカプセルトイだけでなく、シールや写真集、コラボ商品など派生商品も発売される人気キャラになった。
「コップの縁を使ったものやガール系キャラクターなど類似商品が増えるかもしれないが、新しいアイデアも多数ある。これからも他社に作れないものを作っていく」(奇譚クラブ)という。●バンダイはスマホに履かせる「スマートパンツ」がヒット
1977年にウルトラマンのカプセルトイを発売して以来、キャラクターモノで定評のあるバンダイも、1年ほど前から大人向けのカプセルトイに力を入れている。「子どものころにカプセルトイに親しんだ世代は、大人になっても買うことに違和感がない」(バンダイ)といい、ネタになりそうなものに興味を持つ大人が増えていることも大きいだろう。
例えば、3月に第1弾が発売されたスマートフォンに履かせるシリコン製の「スマートパンツ」はユニークさとかわいい柄でヒット。9月末には第4弾のスマートパンツとタブレット用の「XLサイズ」も発売されている。
5月からは歌舞伎の隈取りや衣装などをモチーフにしたオリジナル柄の「歌舞伎ハンカチーフ」を歌舞伎座などで限定販売。ミドルからシニアを中心に歌舞伎ファンが行列をするほどの人気だ。
また、8月に発売された「仮面ライダー がんばれ! ショッカー」は、秘密結社ショッカーの戦闘員をモチーフにしたデスクトップフィギュア。キャラクターモノだが、ポーズがかわいくてスマホやパソコンと組み合わせて飾れるので、オフィスのデスクに置いてもなごむと好評だという。●「∞プチプチ」開発者が作った“鼻ほじり”!?
一方、全く新しいシリーズもスタート。9月中旬から発売された、鼻の形をしたマスコット玩具「ほじれるんです。」が第1弾だ。
人間の鼻と同じぐらいの大きさで、指が入る穴が空いている。「人前でも心置きなく鼻をほじれる」というコンセプトの新しい発想のフィギュアは、「∞プチプチ」の開発者として知られるバンダイの高橋晋平氏が企画したものだ。
本体は「人の鼻の硬さを再現するのに苦労した」(バンダイ ベンダー事業部 企画・開発第二チームの高橋晋平氏)という合成ゴム製で、手に不思議となじむ。形は5種類で、スタンダードな「鼻」と穴が大きめの「ワイルド鼻」、穴が小さめで奥まで届きにくい「美人鼻」、穴が浅くて小さい「アイドル小鼻」、そのほかにシークレットがある。肌色とクリアの2色展開で、「クリアはアートっぽくて女性に人気」(バンダイ)だ。
穴の奥には突起があり、無意識に爪先でいじりたくなるのが面白い。また「ほじるだけでなく鼻をつまんでもいいし、穴に入れた指をはじいて音を出す“鼻鳴らし”もおすすめ」(バンダイ)という。ボールチェーンが付いているので、バッグやキーホルダーなどに付ければいつでも手元に置けるし、話題作りにもぴったりだ。
10月中旬にはスマートフォンのホームボタンなどに付けられる唇型のシリコン製立体シール「スマートキッス」が登場するなど、今後も目を離せないラインアップが続く。●新ブランド「パンダの穴」スタートしたタカラトミーアーツ
25年前からカプセル玩具を販売するタカラトミーアーツは、「男子、女子、中高生、大人と幅広いターゲットに合わせ、毎月約25種類のカプセルトイを新発売している」という大手だ。
土下座ストラップをはじめ、ユニークな商品が増えてきたなか、タカラトミーアーツが選んだのは、社外のデザイナーなどのクリエイターとのコラボだった。
新ブランド「パンダの穴」は社外デザイナーの作品をタカラトミーアーツが商品化するもので、「社内では企画できないような新風を吹き込んでくれる」と期待する。実際、ロダンの「考える人」を連想させる「考えない人」(11月発売予定)を7月下旬に開催された模型イベント「ワンダーフェスティバル2013[夏]」に出展したところ、Twitterを中心に大きな話題となり、手応えを感じたという。
「カプセルトイではソーシャルメディアを積極的に活用している」とタカラトミーアーツ。数百円と単価が安く、宣伝費をあまりかけられないからだ。ソーシャルメディアユーザーも話題にしやすいネタを探しているから、相性が良いのだ。
第1弾として9月に発売されたのが「サメフライ」。丸ごとフライにしたサメをフィギュアにした、ユニークなもの。こんがり揚がった衣がなんとも不思議なニュアンスで、写真を撮ってソーシャルメディアにのせても話題になりそう。
第2弾の「ZooZooZoo」は10月発売予定、11月は「考えない人」も発売される予定だ。以降もこれまでになかったタイプのカプセルトイを次々と発売する計画だ。●不便を楽しみつつ、欲しいものは検索でゲット
しかし、なぜ大人がカプセルトイに引きつけられるのだろうか。
奇譚クラブは「カプセル玩具は古き良き時代から残っている不便なもの」だという。今は欲しいものは何でも買える時代。ネットで商品名や型番を指定して買うのは当たり前だ。しかしカプセルトイは欲しいシリーズの販売機に欲しいときに出会えるとは限らないし、その販売機を見つけても気に入ったアイテムが買えるかどうかは分からない。つまり、販売機を見つけるところから始まる“過程を楽しむ遊び”なのだ。
とはいえ、カプセルトイは売り切れたら販売終了の商品も多い。そこで、各社が実施しているのが「検索サービス」だ。
タカラトミーアーツはキャラクター名や地域からどの店で買えるかを検索できるウェブサイト「おしえて! ガチャ検索」を用意。バンダイはソーシャルメディアでの購入情報を見つけられるサイト「ガシャどこ?」に加え、同社のポータルサイト「ガシャポンワールド」でも購入できる店を検索できる。
●大人の生活導線上で“衝動買い”誘う
また、カプセルトイの販売機といえば、玩具店の前やショッピングセンターに置かれているイメージがある。なかでも、都内では「秋葉原ガチャポン会館」やヨドバシAkibaのカプセルトイコーナーなどが品ぞろえの豊富さで有名。
だが街を歩くと、コンビニや地下鉄の通路などあらゆる場所に販売機が置かれているのに気づく。実は現在、全国に設置されているカプセルトイの自動販売機は郵便ポストより多く、約20万台とされているのだ。さらに“大人ガチャ”の販売機は書籍・雑貨店「ヴィレッジヴァンガード」や「タワーレコード」など、大人がよく立ち寄るショップなどにもある。大人の生活導線上にも数多く販売機を置き、衝動買いにつなげていることも大人に売れている要因の一つだろう。
気に入ったシリーズの全てのアイテムをそろえる大人は多いが、決めた予算内でどれだけお気に入りを集められるかを楽しむ人もいる。「その人なりの達成感が得られるのがカプセルトイの魅力の1つ」(奇譚クラブ)。楽しみ方の幅が広いカプセルトイは単なるブームではなく、コレクションの1ジャンルとして定着しそうだ。
これって・・・半沢さんの影響じゃんw
私も大ファンなので欲しい・・・
