問い



電験(電気主任技術者試験)、電気工事士、エネルギー管理士、技術士など

次の文章は、強磁性体の磁化現象について述べたものである。
 図のように磁界の大きさがH〔A/m〕をHmから-Hmまで変化させた後、再び正の向きにHmまで変化させると、磁束密度B〔T〕は一つの閉曲線を描く。この曲線を〔ア〕という。この曲線を一周りした後ではB〔T〕とH〔A/m〕は元の値に戻り、磁化の状態も元の状態に戻る。その間に加えられた単位体積当たりのエネルギーWh〔J/㎥〕は、この曲線〔イ〕に等しい。そのエネルギーWh〔J/㎥〕は強磁性体に与えられるが、最終的には熱の形になって放出される。もし、1秒間にf回この曲線を描かせるとP=〔ウ〕〔W/㎥〕の電力が熱となる。これを〔エ〕と名付けている。
 上記の〔ア〕、〔イ〕、〔ウ〕及び〔エ〕に当てはまる語句又は式を答えよ。

回答
 問題図に示された閉曲線をヒステリシス曲線という。
 曲線を一周する間に強磁性体に加えた単位体積当たりのエネルギーWh〔J/㎥〕は、曲線に囲まれて面積に等しい。
 強磁性体に加えたエネルギーWh〔J/㎥〕を1秒当たりf回加えるので、放熱される電力P〔W/㎥〕は次式のように求められる。
 P=(f・Wh〔J/㎥〕)/1〔s〕
 P=f・Wh〔W/㎥〕
この電力Pは損失となり、強磁性体を磁化するときの損失であるから、ヒステリシス損と名付けられている。
 〔ア〕:ヒステリシス曲線 〔イ〕:に囲まれた面積 〔ウ〕f・Wh
 〔エ〕:ヒステリシス損
となる。


問い


電験(電気主任技術者試験)、電気工事士、エネルギー管理士、技術士など

図1のように無限に長い直線状導体Aに直流電流I1〔A〕が流れているとき、この導体からa〔m〕離れた点Pでの磁界の大きさはH1〔A/m〕であった。一方、図2のように半径a〔m〕の一巻きの円形コイルBに直流電流I2〔A〕が流れている時、この円の中心点Oで磁界の大きさはH2〔A/m〕であった。H1=H2であるときのI1とI2の関係を表す式は。

2007年第3種電気主任技術者試験「理論」改

解答 図1の直線状導体Aによる、a〔m〕離れた点Pの磁界の強さH1〔A/m〕は
H1=I1/2πa 〔A/m〕
 
 一方、図2の一巻きコイルBによる中心点Oの磁界の強さH2〔A/m〕は、
 H2=I2/2a 〔A/m〕
題意より、H1=H2であるから、
 I1/2πa=I2/2a
∴I1=πI2 …答え。

問い
 次の文章は、コイルの鎖交磁束数とコイルに蓄えられる磁気エネルギーについて述べたものである。
 インダクタンス1〔mH〕コイルに直流10〔A〕が流れている時、このコイルの磁束鎖交数Φ1〔Wb〕は(ア)〔Wb〕である。また、コイルに蓄えられている磁気エネルギーW1〔J〕は(イ)〔J〕である。
 次に、このコイルに流れる直流電流を30〔A〕とすると、磁束鎖交数Φ2〔Wb〕と蓄えられる磁気エネルギーW2〔J〕はそれぞれ(ウ)となる。
 上記の記述中の空白箇所(ア)(イ)及び(ウ)に当てはまる語句又は数値を入れよ。

解答
 自己インダクタンスL〔H〕はL=Φ/Iとなり、題意の数字を代入すると、
Φ1=1×(1/1000)×10=1/100〔Wb〕
 磁気エネルギーW1は
W1=(1/2)LII=(1/2)×1×(1/1000)×10×10=5×1/100〔J〕
 磁束鎖交数Φは電流に比例し、磁気エネルギーWは電流の2乗に比例する。
 答えは(ア):1/100 (イ):5×1/100
(ウ)Φ2はΦ1の3倍、W2はW1の9倍