夕飯の材料などを買いにスーパーに行くと、聞くに耐えない罵詈雑言を我が子に浴びせる人がいる。
ものすごいおらついている。
子どもは泣き出しそうな顔をして親の顔を見上げているが親は子供の顔を見ない。
いや、見ているが、見ると言うより睨んでいる。
しかしかく言う私も子供に対して反社会組織のような罵詈雑言を浴びせていた時があった。恥ずかしい。
娘が小さい時に、セルフレジをしたがったことがある。基本的に娘はだだをこねるタイプではないしどちらかというと引っ込み思案な子だけれど、どうしてもやってみたかったのだろうし、やれるような気持ちになっていたのだろう。
私はイライラしていた。自分に対してイライラしていたのを周りのせいにしていたのだろう。
娘にセルフレジをやらせたけれど、うまく反応しなかったり時間がかかったりで、ものすごく強く叱責した。
娘は涙をポロポロこぼしながらバーコードリーダーを握っていた。うまく反応しても笑顔はなかった。
あの頃のあの日の私に会えたらビンタしたい。二、三日噛み合わせがおかしくなるくらいのフルビンタだ。多分、あの頃の私もそれを願っていたのだと思う。
その後娘はセルフレジがとても上手になった。買い物に行くたびにピッピっと手早くバーコードを読み込み、そしてそのうちに大きくなり一緒に買い物に行く機会がすっかり減った。
買い物に行ってイライラさせられるのなんて過ぎて仕舞えばあっという間だ。
ついてこないと置いて帰るぞなんてセリフ、一生言える訳じゃない。
早くお菓子を決めろだの、どっかに行くなだのイライラしている暇があればするべき話をたくさんするべきだ。
なぜそれが欲しいのか、それを買ったらどんなに幸せな気持ちになるのか。
一番幸せな気持ちになるものを選びなさい。よく考えるんだよ。
決まったら教えて。それを手に入れたらあなたがどんなに嬉しいかママに聞かせて。
そう言ってあげられたら良かった。
今だからそう思えるんだ。だからあの頃の自分の馬鹿さ加減も必要なんだ。