現代歳時記
先日、歳時記を持っていないと書いたけど、かつて買おうとしたことはあった。金子兜太、黒田杏子、夏石番矢が編集したという『現代歳時記』は買っておきたいと思っていた。だが、不運なことに発行元の成星出版は2001年に倒産してしまい、たちばな出版から改訂版が出た。宗教本や占い本で知られる「たちばな出版」の社長である深見東州さんは、新宗教ワールドメイトの教祖でもあり、みすず学苑の学苑長でもある。深見さんは、金子兜太さんの推薦で現代俳句協会の会員になった。現代俳句協会名誉会長である金子さんは深見さんを俳人だと認めているのだろうか。だが、深見さんの句は、俳句を名乗るレベルにあるとは思えない。雑誌やコンクールに応募してもまず取り上げられることはないだろう。手元に、2004年3月初版の深見さんの第5句集がある。その名も、『冬の山、ホワイトチョコをかけました』。定価1575円。ブックオフで200円。ハードカバーの全64ページ。美しいカラー写真と31の句が並んでいる。風景写真はとても美しいのだが、句は俳句と言えるものではない。このような調子の句が並ぶ。ため息がこみ上げる雪雪の山この頃の激務布団に寝るは稀寒い寒い壁に隠れて襟立てる懸念事項あれど幸せ年暮るる年迎ふ振り返らない悔やまない初夢や何も見なくて気持ちよし初春や心底喜べない私初滑り雪はまぶしく新しくなんなのだろう、この直接的過ぎる表現は。状況描写とか印象、比喩に近いのか。表面的すぎる表現で、芸術的バランスを示せていない。句の構成要素が乏しい。おもしろかったよ!おいしかったよ!そのように言うのは俳句とは言えない。詩でも文学でもない。そこで脱ぐのかよ!アボカドにはやっぱり醤油だよ!と言うほうがまだ奥行きのあるバランスを示せる。句集を出せるレベルになくても、深見さんは自分の経営する会社から何冊も句集を出している。そのような会社から出ている歳時記を、ぼくは買う気にはならない。また、深見さんの句集の写真は完全にプロレベルだったので、もし深見さんの作品であれば写真家を名乗られたほうがいいのではないかと思ったけど、写真は写真家の作品だった。<参考>http://www.tachibana-inc.co.jp/detail.jsp?goods_id=338■現代歳時記金子兜太 著黒田杏子 著夏石番矢 判型:四六、ケース入りページ数:762初版年月日:2001/11/20ISBN:4-8133-1451-1 税込定価:3,780円