Translucide

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猫の夢

横たわる猫は夢を見ている
夏の青空に高く飛ぶ鳥を網戸越しに見上げたときのことを
横たわる猫は夢を見ている
水道の蛇口からしたたり落ちる水のしずくを頬に受けたときの冷たさを
横たわる猫は夢を見ている
人の気配のない玄関をただじっと見つめて帰りを待つさみしさを

横たわる猫は夢を見ている
はるか昔に草むらの中で置き去りにした母と姉妹の匂いとぬくもりを
もうすぐ雨が降る

走る列車の音がこんなにも近い
きっともうすぐ雨が降るだろう
走る自動車の音がこんなにも近い
きっともうすぐ雨が降るだろう

走る列車と自動車の音で眠れない夜の
大気は水で満たされていく
寝息

あなたの寝息は
あなたの話す声のように
きれいなものではないけれど

あなたの寝息は
あなたの見ている夢のように
やすらかなものではないけれど

あなたの寝息を聴いていると
わたしの幸せがどんなものか
わかる気がする
靴音

靴音が聞こえる
それは誰の音?
鉄が路面に打ちつけられる
近づいてくる

靴音が聞こえる
ひとつ
ふたつ
数を増やし
わたし以外の誰もが
足を鳴らすように

靴音が止まったそのとき
遠くで鐘の音が鳴り響く
遠くに
銃声がひとつ聞こえた

水色のクレヨン

水色のクレヨンで、空と海とを描いている
空は、時間を追いかけるように疾く駆ける
海は、閉じた空間を押し開けるように重くうねる
空と海の境い目を、白い風船が漂う

水色のクレヨンで、青い海と青い空を描いてゆく
真っ白な部屋

いつのまにか真っ白な部屋にいる
真っ白なシーツ
真っ白な枕
真っ白な窓枠
真っ白な服の人

真っ白なシーツの上に
真っ赤な花が一輪
はじめてほめられたこと


はじめてほめられたこと
みんなの前で
照れくさくて
うれしくて

ちびすけで
びりっけつの
ぼくでも
ほめられたこと

はじめてほめられたこと
もう一度 やってみる