ラーメン食べたい透明人間 -4ページ目

ラーメン食べたい透明人間

とらドラを愛してやまない物語中毒者。気が向いた時に更新します。

  アニメを見始めてもう10年以上経ったと思うと、もう立派なおっさんになってしまったんだなぁと感じております。実は録画機能があるテレビを買い、アニメ鑑賞をがっつり始めたのがちょうど2010年くらいからなので、区切りということで2011年冬~2019年秋アニメの個人的オススメを紹介したいと思います。本当はランキング形式にしたかったんですけど、色んな方向性の作品を紹介したかったのと、優劣を付けたかったわけじゃなかったので、10選という形にしました。長えよ簡潔に頼むって人は、その作品を一言で表す魅力を太字にしたのでそれを参考にしてもらえれば。

 

 

魔法少女まどかマギカ

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 

 放送当初、ゼロ年代アニメの総決算と言われ、放送期間も2011年冬と区切りの年で、アニメを語る上でこの作品を外すことが出来ないほどの名作。エロゲをしてこなかったので虚淵玄さんの作品は初見だったのですが、まぁ度肝抜かれました。それを裏付けるかのように、これを期に知名度を大きく上げたそうですし納得できる。

 

 全12話どこを切り取っても無駄がないと感じるほどの濃密なシナリオ、3話切りを意識した作りや、1話ずつ見ても全体を見ても構成が素晴らしくどんどん世界観に引き込まれていく。特に10話は評価がものすごく高く、このシナリオを1話でまとめた手腕に嘆息する。個人的には11話の最後の台詞がこれまでの全ての感情を包括し、かつ最終話の展開を示唆するという、たった一言の言葉が持つ力とは思えない。この台詞のためにここまで書いてきたのか?と感じるほど。

 

 キュウべえというマスコットのような見た目の生物に「魔法少女になってよ!」と勧誘を受ける主人公・鹿目まどか、魔法少女になってはいけないと警告する転校生・暁美ほむら、先輩魔法少女・巴マミ、親友の美樹さやか、敵対する佐倉杏子を中心に物語は進む。これまでの魔法少女モノとは一線を画するヘビーなストーリーだが、前述したとおり、細かい設定からしっかり作られており、伏線の張り方から回収まで綿密に計算されているのもだが、キャラクターの関係性もよく出来ていて面白さも相乗されている。続編となる劇場版もあり、個人的に好きなので余裕があるならそちらも見てもらいたい。

 

 魔法少女ものというある程度様式が固まったジャンルの切り口を変え、アニメのトレンドを取り入れつつメタフィクションの一面をもたせながら、願いを叶える意味を問いかける。12話と思えないほど内容がぎっしり詰まってます。

 

 一度見始めると一気見必死だが、とりあえず主人公の鹿目まどかが変身するまでは見てみては?

 

 

 

 

 

 

 

ゾンビランドサガ

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 

 前述したまどマギが時代を変革を示した作品だとしたら、こちらは2018年秋に放送と今回紹介する中では一番新しいものとなる。正直アイドルアニメといえば『ラブライブ!』が最強の作品だと思っているんですけど、この作品があまりにも斬新でとても衝撃的だったので入れることにした。

 

 前述したとおりヒロインたちはアイドルなんですが、死んだ少女たちがゾンビになって生き返り佐賀を復興するためご当地アイドルになる、というあらすじを聞いただけでも情報過多で混乱してくるのに、さらにプロデューサーの立場にある巽幸太郎(CV.宮野真守)があまりにもハチャメチャなキャラ(思いっきりはっちゃけてるただの宮野真守)でギャグのテイストが強く、設定だけでも胸焼けがするほど。

 

 しかしながらシナリオは12話でよく纏まっており、ギャグの色が強いのでかなり見やすい作品になっている(なお2期制作が決定しているので、これを期に放送までに見ておくのをオススメしたい)。

 

 アイドル、地域復興、死生観と描かれるものが多いにも関わらず、ギャグのおかげでテンポが非常に良く、シリアスとの兼ね合いも出来ててバランスがすごく良い。キャラクターも、花魁、昭和のヤンキー、一世を風靡したが事故死したアイドルなど、色んな時代を生きた人物で、価値観の違いなどが描かれていて様々な魅力が光る。

 

 『ラブライブ!』ではアイドルがいつか迎える引退を、モラトリアムの卒業と重ね合わせることで、”スクールアイドル”という一つの世界観を生み出していたが、本作のヒロインたちはゾンビであり、故に不死(コミカルに首が吹っ飛んだりする)であり、そういう意味では前者と対局に位置する作品に映るが、死という難しい題材をアイドルと絡めてとても上手く描けていた。

 

 アイドル作品とあって曲数も多く、アイドルっぽい曲だけじゃなく、ロックやヘビメタなどバライティに富んでいたり、佐賀県民でも「そこ!?」って思うくらいマイナースポットが出てきたりと、見どころがたくさん詰まっていて飽きさせない。アイドルものが苦手……という人にもオススメしたい作品。

 

 

 

 

 

 

 

氷菓

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 

 米澤穂信氏による<古典部>シリーズが原作の青春ミステリー作品。ミステリーと言っても、死人が出ない”日常の謎”と呼ばれるジャンルである。様々な理由で神山高校の古典部に入部した4人が(主にヒロインの千反田えるの好奇心が原因で)学園生活で出会う謎を解決していく。

 

 ”日常の謎”で有名な作品といえば『ビブリア古書堂の事件手帖』シリーズや、アニメ化もした『ハルチカ』シリーズなどがある。本作は現在も原作小説が刊行されているが、2クールの22話で区切りよく終わっていて、アニメだけで見ても楽しめるし、さらにジュブナイル作品としても質が高くピックアップした。

 

 ミステリーの醍醐味といえば真実を暴き出すことが一般的だろうが、本作に関しては”えるが納得出来る答えを探す”ことが目的であり、必ずしも真実である必要がないということである。「やらなくてもいいことなら、やらない。やらなければいけないことなら手短に」をモットーとする省エネ主義者の主人公・折木奉太郎は、えるの好奇心に振り回され探偵役を務めるが、真実が必ずしも”正しさ”に繋がらないことを知っている。簡潔に、手早く、えるを満足させるために知恵を働かす。これだけ聞くとえるを騙してるように聞こえるかもしれないが、真実は人の数と同じだけ存在しており、絶対的な正しさなんて神でなければ立証出来ない。それがわかってるからこそ、奉太郎の推理には人間味が滲み出す。

 

 事件やその推理を通してキャラクターを掘り下げるという手法はまさしくミステリー的であるし、いくつものシナリオが繋がり作品のメッセージと上手く絡めているミステリーは貴重である。さらに京アニの作画の美しさから青春時代の煌めきを感じさせ、より作品の魅力を高めている。

 

 原作小説の「氷菓」「愚者のエンドロール」「クドリャフカの順番」「遠まわりする雛」までの4冊がアニメ化されている部分で、それを時系列順に再構成されているので、アニメだと特に見やすい。原作を読んでる人にもオススメ出来る。さらにアニメ視聴済みの人には、その後を描いた「ふたりの距離の概算」「いまさら翼といわれても」も、それまでの作品と比べても遜色ないくらいおもしろいので、余裕があれば是非読んで欲しい。

 

 

 

 

 

 

 

異国迷路のクロワーゼ

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 

 2011年夏アニメと古めの作品。ぶっちゃけ趣味枠なんですけど、12話の1クールで綺麗に纏まっているのと、画像の主人公とヒロインの関係性がとても好きなんです。

 

 舞台は19世紀後半のパリ。下町にある商店街に店舗を構える鉄工芸店の店主・クロードの元に、長崎の看板娘・湯音が奉公にやってくる。職人気質のクロードは日本の文化に戸惑いながらも、湯音のひたむきさを認めていき心を開いていく。

 

 ともかく湯音が可愛い。CV.は東山奈央さんで、彼女の代表的なキャラクターは『艦これ』の金剛や、『きんいろモザイク』のカレンのようなハイテンション外国人キャラを思い浮かべる人が多いかと思いますが、私にとっては湯音のような物腰柔らかな女の子を想像するほど思い入れがあるキャラです。クロードにも3代続いた伝統を守りたかったりと色々抱えていたりするのですが、それを異文化交流を交え互いを理解し合う様はとても良いものですね……。

 

 この頃ヨーロッパではジャポニズム(日本文化の流行)があり、日本の文化が好きな貴族の娘が出てきたり、商店街の商売敵の百貨店などを湯音と一緒に見て回ることで、ヨーロッパの文化を知らない人でも楽しめる作りになっている(私は西洋の衣装や町並みが好きなのでそういった人も満足できるであろう)。

 

 ストーリー性が強い作品が好きなのでしっかりとした作りの作品が多くなりがちなのですが、これは肩の力を抜いて見れるので、そういった作品が好きな人にもオススメです。

 

 

 

 

 

 

 

 

凪のあすから

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 

 P.A.WORKSが手掛けるオリジナルアニメ作品。『花咲くいろは』『SHIROBAKO』など評価が高いオリジナルタイトル(入れたかったけど入れれなかった作品。興味があれば是非)を多数手がけている中で、ラブコメ枠が10選の中になかったので本作をピックアップ。

 

 「海と大地のあいだで揺れる 青の御伽話(ファンタジー)」というキャッチコピーの通り、P.A.の素晴らしい作画、特に青色の美しさや、海の透明感は唯一無二と言っても過言ではない。

 

 ストーリーは『とらドラ!』『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない』やP.A.が制作した『true tears』『花咲くいろは』のシリーズ構成を務めた岡田麿里。多数のラブコメ、恋愛作品の脚本を手掛けた彼女が得意としているのは゛時間の流れで変わる関係値の変化”であり、上記の『あのはな』では一人の少女の死によって時間が止まってしまった主人公たちと、時間によって変わってしまった互いの関係を上手く描いた作品であり、本作もそういった要素を含むもので良く出来ている。さらに、ファンタジー要素を組み込むことも多く、『あのはな』では少女の幽霊が、『キズナイーバー』という作品では互いの傷の痛みを共有するという設定がある。本作は我々と同じように暮らす人だけでなく、水中でも呼吸ができ海で暮らす人々を交え、現実を下地にファンタジー要素を加えたラブコメ作品である。

 

 海にある汐鹿生(しおししお)という街で暮らす少年・先島光とその幼馴染4人が陸にある学校に通い始め、陸の学生と交流することで様々な感情に出会うことになる。ファンタジーだからこそ出来る感情のすれ違いなどが上手く表現できており、他のラブコメとは違った面白さがある。

 

 クリエイティブな活動を軸にしたラブコメの傑作『冴えない彼女の育てかた』(映画までで完結、くせが強く人を選びそう)や、百合でありながら感情の掘り下げや画面の使い方がズバ抜けて上手く、恋愛作品として上質で私の人生ベスト漫画を更新した『やがて君になる』(アニメでは未完、2期があると信じて20年代ベストとして保留)など、泣く泣く除外された作品も多かったが、本作もそれに負けてないと個人的に思います。(あとこれが面白いと思ったら、岡田麿里さんが初めて監督と脚本を務めた『さよならの朝に約束の花をかざろう』をよろしくお願いします……。関係値の変化、ファンタジーなど似た要素があり2時間かからず見終えれるので……。キャラデザや美術スタッフも同じで映像も綺麗です……。私の人生ベスト映画と言えるくらいの作品なので何卒……何卒……。)

 

 

 

 

 

 

シュタインズ・ゲート

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 

 いわゆる科学ADVシリーズ中の1作ですが、これだけ見ても楽しめる(むしろ他作品のアニメ化が微妙なので、アニメでオススメできるのはシュタゲくらい。CHAOS;HEADやCHAOS;CHILDのアニメ作り直してくれ)。科学ADVシリーズと銘打ってるように、物語の中に出てくる事象の表現は、科学的根拠に基づいたリアリティのあるものを目指して作られているので、知的好奇心をくすぐられる。

 

 本作でメインになるのはタイムマシンで、偶然過去にメールを送る装置を発明してしまった主人公・岡部倫太郎に、脳科学を専門にしている天才科学者・牧瀬紅莉栖と共に研究や論理を解明したりする場面があり、カオス理論やらカー・ブラックホールやら聞き慣れない単語が連発して混乱するかもしれないが、実際起こっている現象を理解出来ればストーリーを楽しめることが出来るので肩肘張って見る必要はない(こういった科学的な試行錯誤はほぼ序盤だけなので安心して欲しい。興味があれば調べてみると面白い程度の認識で大丈夫だ)。

 

 もし現実にタイムマシンがあったら……を形にしており、かつそれが引き起こしてしまう事件などを深く考察されており、シナリオも非常に複雑に絡んでいるものの、初見でもわかりやすく見れるのは素晴らしい。伏線が多く張られていてラストへ向けて物語が収束していく感覚は、筆舌に尽くしがたいものであり、途中で視聴を止めたくなくなるほど。

 

 映画『君の名は。』のヒット等で再びタイムリープや時間的隔たりがある感情のすれ違いのようなものがテーマの作品が増えてきているが、そういった作品で引っかかった感情や腑に落ちない部分があった場合、この作品を見れば答えが得られると思えるほど、本作で描かれたものは強固で納得出来るストーリーである。

 

 SF作品は複雑な世界観や難解なシナリオで敷居が高く感じてしまうことが多いけれど、そういった苦手意識を抱いている人にもオススメ出来る作品です。既に視聴済みの方は他の科学ADVシリーズにも手を出して欲しい。アニメなら『Occultic;Nine -オカルティック・ナイン-』、ゲームなら『CHAOS;CHILD』がオススメ。

 

 

 

 

 

 

輪るピングドラム

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 

 『少女革命ウテナ』で監督を務めた幾原邦彦氏が手掛けたオリジナルアニメーション。この後にも『ユリ熊嵐』『さらざんまい』なども制作した知る人ぞ知るアニメ監督。氏の作品は演劇の手法を使った演出が多く、独特な作風で初見には厳しいように映るかもしれないが、本作はその中でもテーマが伝わりやすく、普遍的に誰もが抱える仄暗い感情を描き出していて、とてもクセが強いが誰にでもオススメできるという稀有な作品。

 

 女遊びが好きな長男・高倉冠葉、それに呆れつつも家族思いの弟・晶馬、病気で余命幾ばくもない末妹・陽毬を中心に、冠葉と晶馬のクラス担任の多蕗桂樹、その多蕗に片思いしストーキングする荻野目苹果、多蕗と交際してる女優・時籠ゆり等々……ストレートに個性が強かったり、まともに見える人間も過去に何らかの事情を抱えてたり、一癖も二癖もあるキャラクターたちである。

 

 ストーリーもなかなかにクセが強い。一時帰宅療養中の陽毬のために水族館へ兄弟で出かけるが、館内で陽毬が倒れ病院に搬送されてる最中に息を引き取ってしまう。悲しみに暮れる冠葉と晶馬だったが、突如ペンギン帽を被った陽毬が起き上がり「生存戦略!」と叫び声を上げると同時に不思議な空間が展開される。感情が乗っ取られたかのように喋る陽毬は「ピングドラムを手に入れろ」と二人に命じ、冠葉から命の一部を抜き取り、現実世界で陽毬も生き返る。そうしてピングドラムを手に入れるため、荻野目苹果という少女を調査することになり……、と展開の目まぐるしさについていけなさそうになるが、「きっと何者にもなれないお前たちに告げる」「僕の愛も、君の罰もすべて分け合うんだ」というキャッチコピー、家族とは、愛とは、運命とは何かと問い続ける脚本に一度興味を示してしまうと、作品世界にグイグイ引き込まれてしまう。

 

 何が起こるかわからないシナリオに対し、揺るがない芯が作品を支えていて、とても見ごたえのある作品になっている。小難しそうなこと語ってしまったが、肩肘張らず作品世界にどっぷり使って欲しい。  

 

 

 

 

 

 

 

 

新世界より

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 

  貴志祐介氏の同名小説が原作のSFアニメ。千年後の日本が舞台で、人類が”呪力”という超能力を手に入れ、誰しもがその力を使い生活をしていた。神栖66町という集落に住む渡辺早季(画像一番手前)らは呪力を手に入れるため学校で学び日々を謳歌していた。ある日、授業の一環で集落の外へ出た際に”ミノシロモドキ”という自立型AIに出会い、これまでの人類の歴史を知ってしまう。隠された真実を知った早季の平和は徐々に崩れていく……といったストーリー。

 

 とにかく世界観が細部まで作り込まれていて、呪力を手に入れた人類が千年間で起こった出来事から、これからストーリーで語られる事象を歴史を参照に組み立てられており、そこだけ見てもシナリオの濃密さに唸ってしまう。さらには謎を追うミステリ、怪物から追われるサイコホラー、学園生活の青春やモラトリアム、呪術を使った異能バトル、長い時間をかけて描かれる成長物語、同性愛を絡めたラブロマンス、生態系の変化で描かれる生物学、宗教観などなど、ここまで様々な面白さが混然としている作品は見たことがない。本作はSF作品として受賞しているが、貴志祐介氏はホラーやミステリー作品でも受賞歴があり、多彩な知識や経験がある氏だからこそ描けた物語と言える。

 

 そういった極彩色の魅力がある本作だが、シナリオがわかりやすく楽しみやすい。あらすじだけだと難しく感じるかもしれないけれど、何が起こっているかは画面に表れているので直感的にわかる。もちろん、掘り下げたい人はいくらでも掘り下げれる作品でもある。特にどんどん謎が解明されていき右肩上がりに面白くなっていくので、リアルタイムで見てた時は1週間がとても長く感じるほどだった。

 

 原作も読んでほしいのだが、小説は千ページを超える長編で普段小説を読まない人にはなかなかオススメしづらい。なので、アニメやコミカライズで是非見て欲しい。さらに小説だと新種の生物や呪力による戦闘などはイメージが難しいが、アニメだと映像だけで補完出来るので、そういう点でもオススメ出来る。映像だからこそ得られるカタルシスもあるので、ぜひ動きと音がついてるアニメを鑑賞してその世界観を肌で感じてもらいたい。腰を据えて見ごたえのある作品が見たい人は是非。

 

 

 

 

 

 

 

サクラダリセット

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 

 こちらもSF要素を含む作品になってしまうのだが、青春作品としての側面が強く、伏線の回収といえばこの作品の右に出るものはないと思える作品。

 

 まどマギも伏線の回収が素晴らしいと書いたが、この作品は2クールで原作小説は7巻というシリーズなのに、1巻からラストを見据えて描かれているという大掛かりな構成。正直物語は短く描かれることに美しさを見出しているが、物語をきっちり纏める労力は長くなるに連れ反比例的に難易度が跳ね上がるので(特にアニメだと最初から枠組みが決まっているが、本作は描き下ろしの小説なので、最悪1巻打ち切り様な形になる可能性にも関わらず、このような手法を取ったのは畏敬の念を表す)、24話でもきっちり描ききれてた部分は他の追随を許さず、ジュブナイル作品としても上質なのでピックアップした。

 

 前述した『新世界より』でも、”呪力”という異能を扱うことで、人間が誰しも抱えている奥底に隠された心情を暴き出しているが、本作でも咲良田という街限定であるが、住人は誰しもが一つ能力を持っており、その能力を絡めたキャラクターの心理描写が美しく、異能系作品の王道といっても良い構成。前者は醜く黒い感情が主だが、こちらは思春期に誰しもが抱くであろう感情が真っ直ぐ描かれている。そして決して記憶を失わない”記憶保持”の能力を持つ主人公・浅井ケイだからこそ、その感情に真摯に向き合う事ができ、咲良田で出会う人たちの意思を背負っていける。世界を最大3日間巻き戻せる”リセット”の能力を持つヒロイン・春埼美空(巻き戻せても記憶を維持することが出来ないので自分の行動を変えれない。なので”記憶保持”を持つケイがいることで意味を持つ力なのだ)と共に事件を解決していくのだが、全てを覚えてるケイだからこそ作り出せる優しい世界に胸を打たれる。

 

 この他に多数のキャラクターが登場しそれぞれに能力があるのだが、それら全てがラストに収束していく様は一種の芸術のようで、無駄な部分が一切無い。シナリオに無駄が無いので、感情の掘り下げをするための余白も計算されて作られていると感じるので、考察好きなどは特にオススメできる。伏線回収が素晴らしいアニメは他にも挙げてきたが、そういった作品を見慣れてしまった人にも満足できる作品になっている。

 

 

 

 

 

宇宙よりも遠い場所

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 

 ラストはこの作品。最初にランキング形式にはしないと書いたものの、10年代ベストは文句なしでこの作品。10年続くアニメトレンドの完成形と言ってもいい。

 

 この作品は、”青春がしたい”という漠然とした願いを持ってるも関わらず何も行動できてなかった高校生・玉木マリが、本気で南極に行こうと奮闘する高校生・小淵沢報瀬に感化され、高校を中退した同い年の少女・三宅日向、高校1年生でタレントの白石結月と共に、南極を目指すという物語である。

 

 私が初めて深夜アニメを見たのが高校2年制の頃で、アニメを見て現実の世界の見え方が劇的に変わったという実感を得ました。そうやって若い世代には新しい世界を見せ、社会人には若かりし頃の熱意を思い出させる……。それこそが青春作品の醍醐味であり、幅広い世代に愛される理由だと思っている。

 

 青春=ボーイ・ミーツ・ガールの図式がパッと頭に浮かぶくらい両者の関係は親密である。『いちご100%』では真中淳平と東城綾が、『イリヤの夏、UFOの空』では浅羽直之と伊里野加奈が、『エヴァンゲリオン』では碇シンジと綾波レイが、様々なジャンルで男女の出会いが物語の起点となっている。キョンとハルヒの出会いから始まる『涼宮ハルヒの憂鬱』がラノベアニメ化、深夜アニメの流行りを作り出し今の流れを作ったし、これまでオススメした青春作品『凪のあすから』『氷菓』『サクラダリセット』も主人公とヒロインが出会うことで物語が動き出す。これほどまでに強固な関係だが、それをブチ壊したのが『けいおん!』である。

 

 『けいおん!』は桜が丘高校軽音部に所属する唯・澪・律・紬の少女4人(のちに新入生の梓を加え5人)の日常を描いた所謂”きらら系””日常系”と呼ばれる作品だが、そういった作品の特徴としては1話完結だったり、ゆるく描かれたギャグとされている。ただ大ヒットを生んだこの作品は、時間とともにキャラクターは進級し、2期では唯ら4人が学校から卒業するのである。これだけでもゆるゆる続く日常系とは異例なのに、その卒業だったり文化祭だったり物語が積み重なって感動を生み出していて、青春にボーイ・ミーツ・ガールが必ずしも必要でないと気づかせてくれたのである。2009年に1期、2010年に2期と放送された本作が、元々あった美少女だけが出てくる作品に青春作品としての付加価値があると証明し、これ以降こういった作品のブームを引き起こしたと見ている。

 

 上記した『まどマギ』も主要キャラは女子高生だけだし、タイトルだけ出した『花咲くいろは』『SHIROBAKO』のような女性主人公の”お仕事もの”だったり、『やがて君になる』のような百合作品の隆盛は、こういった流れがあったからこそ生まれたものだと私は感じている。これが2010年に生まれ、昨今のトレンドの一つとしてアニメ界に名を残していたのだ。

 

 話しを『宇宙よりも遠い場所』に戻そう。こちらの作品も主要キャラが女子高生だけだ。そして、お仕事ものとしての側面もある。こういった時代の流れを汲みつつ、思春期の少年少女誰しもが持ってる”自分は何者でどうありたいのか(自己の存在意義、価値観の追求)”をメインに据え、出会いや別れ、大人に対する劣等感など青春作品の面白さがギュッと詰まっている。1話ごとに纏まったシナリオ構成だが、テーマにしっかり芯が通っているので全体を通してみても彼女らの成長をしっかり感じられる作りになってる。

 

 1クール12話で短いにも関わらず濃密なストーリーで、1話ごとで起承転結をきっちり描き、挿入歌も良く作品に彩りを与えており、アニメの良さを存分に生かした作品になっている。見たことない人は全員見て欲しい。絶対に後悔はしない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

 長くなりましたが以上、2010年度オススメアニメ作品10選でした。10年間で見た作品数は約380タイトル(量が多すぎたので数え間違えてるかもしれませんけど……)で、そこそこの量は見てたんじゃないでしょうか。

 

 深夜アニメバブルと言われるほど毎クール大量の作品がアニメ化されてきましたけど、未だに大きく衰えること無く様々なアニメが放送されています。時代とともに色んな流行りがあり、それを紐解いていくと時世を写していたりするのかなぁ……と思っています。

 

 これからも色んな作品を見て、色んな感情に出会えたらいいなと思います。それでは。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そんなことよりVTuberとアイドルにドハマりしてしまって時間が無限に足りない。