出し抜けに隣の部屋の住人が私の部屋のドアを叩く。
「ちょっと開けてくれへんか」

 

いぶかる私に構わず、彼は座る動作とついていたテレビを消す動作を同時に行う。

 

かれは私より5つ年上だか背は10センチほど低い。

 

「俺な、自殺しようおもてんねん。」
「ははぁ、いきなりまたワケわからんこといいますね。」

 

彼と話をするのは二時間ぶりである。

 
 

「俺らみたいな底辺の人間は長いこと生きたってしゃあない。だから、年金もどんどん引き伸ばししよるやろ。国っちゅうのは税金納めん人間は早よ死んでゆうのが本音や。ましてや世の中の状況はこれからも悪なり続けるで。」
「悪なり続けるかどうかは分からんですけど、じゃあ将来を悲観して自殺するゆうことですか?」
「あながち、そうゆうことだけでもないねん。俺は人間として、世の中のため、人のためになりたいゆう夢もあったわけや。」
「はぁ…、でも死んだらだめですやん。」
「そこでや、世の中のため、人のためになる自殺というのはないかいなと思たんや。」
「ほほう・・・・あっ、危うく納得させられそうになりました。けどそんなことできますかね。」
「一人で考えるより、三人寄れば文殊の知恵ゆうやろ。二人しかおらんけど。」

 

人が羨むような生活してたわけでもないが、きょうあす食い物に困るという生活でもないこの人が
真剣にそんなことを考えてるとは思っていなかった。
要するに余暇における産業廃棄物のような話であると踏んだ。