trananasglen1970のブログ

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十一月も半ばを過ぎ、
雪虫が飛んでいるのを時々見かけるようになった。
そういえば子供の頃から雪虫と呼んでいるが、
あの体に綿をつけたような虫の
本当の名前はなんというのだろう。

最近ではベランダに布団を干すのも
この寒さに億劫になりつつある。
意を決してベランダの手すりに布団をかけると、
そそくさと室内に戻った。

先週の日曜に
エミの荷物が洋室に運び込まれ、
僕達は洋室で眠るようになった。

そして和室には相変わらず父の姿がある。

「おはようございます」

「おはよう、エミちゃん。
そろそろコーヒー淹れるから。
康平も起きてるかな」

「はい、今布団干してます」

「うー、寒い」

「すぐにコーヒー淹れるから
二人とも炬燵で待っていてくれ。
そっちに持って行くから」

台所に父を残し炬燵に入る。
この四辺のうちひとつは空いたままで、
埋まることはない。

ヅカにエミのことを伝えてから、
僕達は会社以外で会うことは無くなった。
ヅカがこの家に来なくなっても
父は何も聞かない。

それでもヅカのカップだけは、
今でも食器棚の奥にひっそりと眠っている。

父が豆を挽く音が聞こえてきた。
僕とエミは顔を見合わせて
期待の笑みを浮かべる。

しばらくすると、
父がドリッパーをセットしたポットと、
温めたカップをトレイにのせてやってきた。

「お待たせ」

父はいつものように誇らしげな表情で、
一連の作業をこなしていく。
僕達がここに集まる為の休日の儀式だ。

父がゆっくりと慎重にお湯を注ぎ始める。
豆が蒸されて泡が膨らんでいく。
それがおさまるのを見届けてから
父は再び湯を注いだ。

僕とエミは父に与えられる
その一杯をゆっくりと味わう。

「そうだ、父さん。
聞きたいことがあるんだけど」

コーヒーを飲んでいるうちに、
以前気になっていたことをふと思い出す。

「なんだ」

「前に朝早く商店街で
父さんを見たんだ。
あれは誰と話してたの」

父は手を止めて、
僕の顔を見た。
エミは僕と父の顔を
交互に見比べている。

そうか、と父は視線を手元に戻して言う。

「見られていたとは気がつかなかったな」

「その時言えば良かったんだけど、
すっかり忘れてた」

「見られたからには仕方がない」

父は映画の悪役のような台詞を呟き、
カップを置いた。
えっ、と思わず声が洩れる。

やはり見てはいけないものだったのだろうか。

「これを飲んだら案内するよ」

「どこに?」

そう尋ねる声がエミと重なる。

「まあ、すぐに分かるさ」

不審に思いながらコーヒーを飲み終えると、
僕達は上着を羽織って外に連れ出された。











#27へ続く













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