アーティスト: ジェフ・ベック, ロッド・スチュワート
タイトル: フラッシュ(紙)





ジェフ・ベック
というギタリストを知ったのは、高校生の頃。友達からレコードを借りて聴いたBlow By Blowが最初でした。
どなたが考えたのか『ギター殺人者の凱旋』という原題とはかけ離れた邦題が付いていて、「凱旋って何?」と辞書を引き、パリの凱旋門はそういう意味だと知ったけど、「殺人者」に関して特に疑問も感じず…。当時のわたしは、学校の授業よりも曲名や歌詞の和訳などを読むことが、英語や日本語の勉強になってたみたいです。
このBlow~、ギター&インストばかりで歌は入ってないし、わかりやすいリフもないし、初めはなんか退屈な曲ばかりだなぁと思ってました。でもその頃は他にあまりレコードも持ってなかったので、仕方なく繰り返し聴くうち、うわー殺られた!という感じ…(笑)
自分で弾けないギターのことはよくわからないけど、こんなにもいろいろな表現ができるって事に感動、以来この人のレコード・CDを買い集めるようになりました。



バンドのメンバーや共演ミュージシャンが次々変わり、孤高のギタリストなどと呼ばれるジェフベックですが、その音楽の流れを大雑把に見ると



ブルース→ハードロック→ジャズ・フュージョン→現在に至る独自のミクスチャーサウンド



というような感じになると
思います。(テキトーですんません)
で、このアルバムFLASH(わたしは'85年発売と同時に買ったので紙ジャケじゃない)はというと、Blow By BlowWiredあたりでジャズ・フュージョンを極めた後で「気分を変えてこういうのもやってみたけど…?」みたいなノリなのか、これ以降のギターアルバムとはかなり異質ですね。
珍しくジェフ本人を含め何人かのヴォーカルがフィーチャーされていて、ギターが前面に出ることはあまりありません。地味~に弾いててもまぁギターの存在感は大きいんですけどね。
ロッド・スチュアートの歌で当時テレビでよくPVが流れてたPeople Get Readyと、唯一ベック自身が作曲も手がけているBack On The Street以外の曲はテクノ風アレンジのモダンな曲ばかり。ドラムがパシパシいってます。



ラストのBack On The Streetは、今までのクールで穏やかな曲調から一転して攻撃的な女性ヴォーカルとギターが炸裂する70年代風ハードロック・ナンバー。
このアルバムでジェフ・ベックが一番やりたかったのは、実はこんな曲だったりして…?嬉々とした表情でギターを掻き鳴らす41歳の少年Jが目に浮かぶようです。



CDのライナーの中で渋谷陽一氏が「ブ男は年をとらない」(え?)なんてことを書いてますけど、裏ジャケの『考える人』みたいなポーズの写真は、まるで彫刻のような端正な顔立ちに写ってまっせ。