マルチタイムフレーム分析(Multi Time Frame Analysis、MTF分析)は、プロトレーダーが必ずといっていいほど使う手法であり、相場の本質を理解するためには欠かせない分析方法です。単一時間足だけを見ると、相場の大局観が掴めず、短期のノイズに振り回されて損失を重ねやすくなります。一方、複数の時間足を組み合わせることで、相場の流れ・強弱・反転ポイントがより立体的に見えるようになり、勝率が劇的に向上します。本記事では、TradingViewを使ったMTF分析の実践方法を、初心者にも分かりやすく体系的に解説します。
1. マルチタイムフレーム分析とは何か:相場を一枚上の視点で理解するための基礎概念
マルチタイムフレーム分析とは、複数の時間足(例:週足・日足・4時間足・15分足など)を同時に確認し、それぞれの時間足が示す「方向性」「勢い」「波形」「リズム」を総合的に判断してトレードに活かす手法です。多くの初心者は1つの時間足だけを見て判断しがちですが、それでは全体の流れを把握できず、ダマしや急反転に巻き込まれやすくなります。大きな時間足は市場全体の心理を反映し、小さな時間足はエントリーのための精密なシグナルを提供します。この2つを併せて分析することで、相場を「平面ではなく立体的に」捉えることが可能になります。
例えば、日足が強い上昇トレンドを示している場合、4時間足や1時間足で一時的な調整が発生していても、最終的には上方向へ進みやすい傾向があります。逆に日足が下降トレンドの場合は、短期的な反発があっても大きな売り圧力が残っているため、買いエントリーをすると不利になりやすいです。このような「時間足同士の階層構造」を理解することで、トレーダーは相場の真の方向性を掴むことができ、ムダな逆張りや感情的なエントリーを避けられるようになります。
2. TradingViewを使ったMTF分析の準備:視認性と効率を高めるチャート環境作り
TradingViewは、複数チャートの同時表示機能やショートカット操作が非常に優れているため、MTF分析を行うのに最適なプラットフォームです。まずは分析しやすい環境を整えることが重要です。分析時に見るべき時間足の組み合わせは「上位・中位・下位」の3階層構造が基本です。多くのトレーダーは、日足(D)→4時間足(4H)→15分足(15M)の組み合わせを採用しています。また、スイングトレーダーであれば週足(W)→日足(D)→4時間足(4H)が効果的です。
TradingViewでは、画面右上の「レイアウト」アイコンから2分割・4分割などの表示が可能です。例えば4分割にして、左上に日足、右上に4時間足、左下に1時間足、右下に15分足を表示すれば、全ての時間足を一目で確認できます。また、インジケーター(EMA、RSI、MACDなど)の設定を統一しておくことで、時間足をまたいでも一貫性のある分析ができます。TradingViewはインジケーターの同期も簡単にできるため、複数チャートでもストレスなく分析を進められます。
3. 上位時間足を読む:勝率の大部分を決める「大局観」の掴み方
MTF分析で最も重要なのは「上位時間足のトレンドを読む」ことです。上位足は市場全体の流れを示すため、ここで方向性を誤ると下位足でどれだけ正確にエントリーしても結果的に負けやすくなります。まずは週足や日足で大まかなトレンドを確認します。上昇トレンド・下降トレンド・レンジ(横ばい)のどれなのかを判断し、主要なサポートラインやレジスタンスラインを引きます。これらのラインは下位足でも強く機能するため、重要な判断材料となります。
上位足で特に重視すべき要素は以下の4つです。
① トレンド方向(上昇・下降・レンジ)
② 主要なライン(サポート・レジスタンス)
③ 長期EMA(50、200)の位置
④ ローソク足パターン(包み足、ピンバーなど)
これらのポイントが揃うと、相場の方向性がほぼ確定します。例えば、日足で下降トレンドかつEMA20がEMA50の下に位置し、主要レジスタンスに抑えられている場合、短期足でどれだけ反発していても、その上昇は一時的であり、最終的には再び下落する可能性が高いです。この「大きな波の方向性を掴む」ことこそがMTF分析の真髄であり、勝率の約70%はこの段階で決まるといっても過言ではありません。
4. 中位・下位時間足でエントリー精度を上げる:具体的なタイミングの見つけ方
上位足で方向性が掴めたら、次は中位時間足(1時間足・4時間足)で波形を確認し、下位足(15分足・5分足)で具体的なエントリーポイントを探します。中位足では「押し目・戻り」の位置を判断し、エントリーを仕掛けるべき価格帯を明確にします。例えば日足が上昇トレンドの場合、4時間足では一時的な調整下落が見られますが、その下落が主要EMAやサポートラインに到達した時が押し目候補となります。
次に下位足に切り替え、エントリーポイントを絞り込みます。具体的には、ローソク足の反転パターン(ピンバー、包み足など)、RSIの反発、MACDのクロス、EMA20の向きが重要です。このとき、複数の根拠が重なる「コンフルエンス」が発生すると非常に強力なシグナルとなります。例えば、4時間足で押し目ゾーンに到達し、15分足でRSIが30付近で反発、さらにEMA20が再び上向きに切り替わった場合、それは高確率で上昇が進む強力なエントリーポイントとなります。
5. 実戦で勝率を上げるためのMTF分析テクニック:プロの視点を身につける
最後に、TradingViewを使ったMTF分析を実戦で活かすための具体的なテクニックを紹介します。第一に「大きなトレンドに逆らわない」ことです。上位足の流れに逆らうエントリーは負けやすく、初心者が陥る典型的なミスです。第二に「上位足のラインを最優先する」こと。上位足のラインは市場参加者の多くが意識しているため、反応の精度が高く、騙しにも強いです。第三に「インジケーターの方向一致」を確認すること。特にEMA20の方向が全時間足で一致している場合、相場の勢いが強く、一方向に伸びやすいです。
また、下位足のノイズに惑わされないことも重要です。1分足や5分足の急な上下動は、上位足の流れを無視した一時的な動きであることが多く、ここでエントリーすると戻りに巻き込まれやすくなります。最後に、「3つ以上の根拠が揃った時だけエントリーする」習慣をつけることで、勝率は劇的に改善します。MTF分析は、根拠を積み上げるための枠組みであり、感情的な判断を排除するための最強のツールです。