物事に夢中になっているときには細かいことに気が回らない。というより、気にならない。つまり、本の並び方が美しくないとか、置かれたものの位置に違和感があるとか、使った食器がシンクに数枚あったところで問題と考えることはない。ただ、その「物事に夢中になっている」時間が長くなってしまう場合、家の中が必ずしも、「安全・便利」ではなくなる可能性がある。簡単に言えば出しっぱなしになったものにつまずく、思わぬタイミングで物が落下して大きな音を立てる、足に当たることおある、「電子レンジから出した食事を乗せるものが無い!」、ということになる。

 1日皿洗いをサボると使える食器が無くなるのは常時使う食器を最小限にしてあるせいで、戸棚を開ければ呆れるほど頂き物の食器が詰まっている。引き出物のコーヒーカップセットやグラスセットもあるが、多くは私の生活を考えずに母が送ってきた漆器やセットの銘々皿やら大鉢の類である。捨てるに忍びなく保管してあるが、20回目を数える引越し人生、どう考えても今の家では使いそうもないから今度自宅に戻る時には、母が上がってこない二階に隠しておこう。

 整頓するには分類するだけの空間が必要だ。