あたしは普通だ。
本当それしか言うことがない。
「えっ、しょうちゃん放課後いかないの?」
そうあたしに言ってきたのはクラスメートの優衣(ゆい)だった。
「バイトはいってんだよ。優衣たちだけで行ってきて…なっ?」
あたしはそれだけ言うと教室をでた。
お昼休み。毎日あることだけれど俺にとっては大切な時間だった。
行く先は音楽室。
トビラを開けるとそこにはいつものようにギターを弾いている少女の姿があった。
「あっしょう先輩!」
叶未(かなみ)という少女はあたしを見るとそう言った。
あたしの名前は神谷太地(かみやたいち)っていう名前で、女だ。
心の中では自分のことをあたしって言ってる。
そうでもしないと自分が女っていうのを完全に忘れてしまいそうだったから。
心の中ではあたしだけど、みんなの前では俺。
それで、なぜあたしが「しょう」て呼ばれているか。
それは単純に背が小さいからだ。
だから小さいで、しょう。