東京・虎ノ門のホテルオークラが今年8月一杯で本館の営業を終了して9月から取り壊しになるということで、ホテルの愛好者に惜しまれているということです。
「一万八千坪の芸術」などと言われた、今の本館の建築造作は「日本の伝統美が凝縮されたもの」という評判で、国内はもとより海外の顧客、著名人の多くに惜しまれていて、ニューヨークタイムズが異例の記事「さよならオークラ」と題して一文を掲載したそうです。アメリカ大使館に隣接していたこともあって、アメリカ人にはフアンが多く、また設計の名手谷口吉郎の作品ということもあって、洋風でありながら和風を極めたという、建設当時のホテルとして一頭群を抜いたものだったそうです。
建替えられる新ホテルは高さ195mの今風、高層38階建て一棟と、85mの低層13階建ての、合わせて二棟の近代建築で帝国ホテル新館風の建築意匠になるそうです。営業効率優先の、しかし快適なおもてなし空間を提供するものになるそうで、つまるところありふれた国際ホテルの一つになるということのようです、そのせいもあって長年のフアン(顧客)から惜しまれ、多くの建替え反対意見が寄せられたということです。新旧入れ替え時によくある惜別のセレモニィ、新ホテルは2019年春に竣工、開業予定とのことです。
しかし、それは奇しくも、2020年東京オリンピックの前年にあたり、現ホテルオークラの竣工・開業も、1964年東京オリンピックの二年前だったということで、なにやら符合するところがあり、縁起を云々しているようです。営業タイミングは絶妙ですが。
この新ホテル建替えの建設資金は建築資材の高騰もあって、当初の800億円から調整して1000億円までのりしろを付けたと聞いて、ふと東京オリンピックの新国立競技場建設費が1300億から2520億円に跳ね上がったというニュースに思いが及んだものです。
都民にも国民にもよく解らない1000億円という価値観に、ちょうど比較対象になる、ホテルオークラという第一級の豪華ホテルの建替えが公表され、内容は38階建てと13階建ての二棟建て、客室550部屋、内外装庭園まで含めた総建築費が合計でも800億から1000億を越えるものではないと公示されていたのです。これまで誰にも想像がつかなかった2520億円という巨額な金額を類推想像することが可能になり、ようやく都民も国民も尺度を得て、新国立競技場の杜撰な建築計画に気が付き猛烈な反対運動となったのでしょう。
オリンピック執行委員達の杜撰さと無責任振りと金銭感覚のなさにはあきれるばかりで、また、競技場デザインコンペ選定委員長のテレビ会見での胡散臭さには、誰しもがあらぬ疑念をもったのは否定出来ないところです。デザイン変更にすでに支払い済みの62億円が丸々損失となって返還されることはない、というのも私企業ではありえないことで納得のいかないところです。公共事業には往々にして、過払いは有り得るとでもいっているようで疑念は深まるばかりです。
しかしながら、両建設計画に幸あれ!