ポール・ディラックという名前に聞き覚えがある人は少ないかも知れませんが電子の発見者です。電子とは原子の周りを高速回転している素粒子で、電気、電磁になるものです。電気は現代社会の基礎を築いたエネルギィで説明の必要はないものですが、電磁もまた、あらゆる電子機器(テレビ、コンピュータ、電子レンジ等々)文明の機械機器に必須のもので、現代文明に不可欠なものです。その電子の発見と量子電磁学の基礎を作った功績でポール・ディラックは1933年度のノーベル物理学賞を受賞しています。
同じイギリスのケンブリッジ大学教授で、ディラックの後輩になる天文物理学者のスティーブン・ホーキングは電子の発見とその計算式(ディラック方程式)を特許申請すべきだった、と他人事ながら残念がっているそうです。今日では調理器具からゲーム機器、ロボットのAI頭脳に至るまですべてが電子機器の時代になっているので、その(原理と応用)のノウハウの特許を取得していたらマイクロソフトのビル・ゲイツ並みの資産家になっていたのは間違いないとiいうのです。
スティーブン・ホーキングは、現在も口達者で元気だそうですが、周知の通り、難病のALS(筋萎縮性側索硬化症)が進行して発声による論戦も講義も不可能となり、ポール・ディラックの電子を利用したコンピュータ機器経由で大学の講義や講演活動、論文発表も果たしていて、知的活動は極めて健在だそうです。ホーキングは現在ケンブリッジ大学の(ルーカス教授職)という教授職で最高の地位を継承して、天才の証明としていますが、神がニブツを与えなかったひとりでもあり、残念につきるものがあります。
20世紀は、数学・物理学の天才が続出した世紀とも言われています。ポール・ディラックもその一人で、十七世紀の現代物理学の祖、アイザック・ニュートンに次ぐものといわれ、ニュートンが初代を勤めた(ルーカス教授職)を20世紀初頭、ホーキングの一代前にポール・ディラックが継承していて、その際立った才能の証しとしていたのです。
そして、面白いことに(と言っては失礼ながら)、ディラックとニュートンにはさらなる共通点があったのです。ディラックもニュートンも、青年期から奇人変人といわれ、石のように寡黙(silence of stone)で、今で言う極度の自閉症(アスペルガー)だったのです。ニュートンの寡黙振りは奇岩のようだった、取り付く島もなかったと言われています。20年来のケンブリッジの同僚ですら、ニュートンとは年に数度会釈する程度、20年間言葉を交わした記憶はない、といわれる奇人振りだったようです。
ポール・ディラックに至っては、それに劣らぬ社交下手で、人との接触を極度に嫌う閉じこもり型だったようです。ノーベル賞受賞の一報に接しても喜ばず、即座に辞退を申し出る始末だったと伝えられています。「それではかえって世間の注目を浴びることになる」と恩師の老教授に言われて考え直し、ようやく授賞を受託したということです。
ホーキングが残念がっていた(ディラック方程式)の特許申請など論外だったのです。ホーキングは発病前は闊達で饒舌で皮肉屋で学生の信望もあって社交下手ではなかったそうですが、病気(ALS)の進行で身動きもならず、結果的にはアスペルガー状態、精神が体内に閉じ込められてしまったのです。
20世紀の天才といえば、アルベルト・アインシュタインを筆頭に挙げるべきかも知れません。ディラックやディラックと共にノーベル物理学賞を授与されたシュレディンガー達の量子論に長らく異論を唱えていたアインシュタインも、やはり後年、アスペルガーだったと診断されています。幼児期の発達障害も指摘されていて、3歳過ぎまで言葉が話せず、話すようになっても話すスピードが遅かったそうです。
アインシュタインの私生活の苦悩は末息子が重い精神病(統合失調症)だった事実のようです。28歳で一般相対性理論を発表、1921年には「光電効果の発見」でノーベル賞を受賞していますが、その生涯には暗い夜の側面があったのです。
アインシュタインの人生のもう一つの懊悩は親友の死、一般相対性理論構築の協力者、物理学者のパウエル・エーレンフェストの痛ましい死があったのです。ダウン症の息子を抱え、絶望してその子を殺し自らも命を絶った親友の死は、同じ発達障害の子を持つアインシュタインにはひとごとではなく、心に衝撃を与え、消えることのない苦しみとなっていたのです。
発明王のトーマス・エジソンは幼年期にはひどいADHD(躁鬱)病で善悪の判断が出来ず、モノはなぜ燃えるのかと、疑問に思うと家に放火したという逸話を残しています。アマデウス・モーツアルトの躁病は映画「アマデウス」の中に紹介されているので広く知られていることです。れっきとした躁鬱病で音楽の天才だったのです。
レオナルド・ダビンチがアスペルガーだった、とは後年指摘されていることですが、絵画制作時の極度のこだわりや「モナリザ」への異常な執着を見ても解る、といわれています。ヴァン・ゴッホの狂気は剃刀で耳を切り落とすなど、知らないものはいない逸話で、日本の中世の英雄、織田信長の狂気にも一部通じるものがあるそうです。ともに甲高い声で話し、躁鬱的で綿菓子のように中心点の定まらない不安な精神の持ち主だったといいます。
ニュートンの100年前、天動説を否定して地動説を唱えたポーランドの異才、コペルニクスもまた、(アスペルガー)的奇人だったと伝えられています。地動説は中世ヨーロッパではタブーでキリスト教教会による迫害で、天動説に異を唱えて何人もの天文学者が異端として命を絶たれています。ガリレオ・ガリレイも地動説を唱えて、危うく宗教裁判で死罪になるところを幼少時代からの親友だった司教の一人に助けられて自説を撤回し、難を逃れた話は有名です。
コペルニクスが宗教裁判所の追及を一度も受けなかったのは、彼がアスペルガーで極め付きの人嫌いで、社交下手で、大勢の前で自説を説くなど出来なかったのが幸いしたのだといいます。しかし、人並み優れた数学の才能があり、地動説を数理的に解説した「回転について」と題したさえない原稿を書き残し、賢明にもそれを(他人の手で)外国に持ち出して出版していたのです。ただ原稿は悪文で難解で地味な題名だったせいで長らく放置され、彼の死後数十年経ってようやく論文としてヨーロッパの学会で認められ、辛うじて歴史に名を止めたということです。
最新の脳医学によると、うつ病も統合失調症も、それまで考えられていたように、脳細胞ニューロンの欠損によるものではなく、ドーパミンなどのホルモン不足が原因でもなく、脳内極所の電磁波過剰流や過活性にあると判ったそうです。
最近の非常に高性能化したMRI(超音波脳波分析装置)でうつ病患者の脳を調べたところ、脳前頭皮質ブロードマン25野という脳深部に、通常にない振動をする活性箇所が見付かり、それがうつ病の原因と(ほぼ)判明しているとのことです。
脳内は化学工場という人もいますが、電磁波の雲のようなもの、と脳神経外科では考えているそうです。そこには稲妻や雷鳴もあり、時に落ちると、場所により、いやな被害をもたらすが、ジャックのマメの木のような信じ難い植物を育てることもあり、雷光の所為ではなく落雷場所だというのです。誰かが言うように、天の摂理は二者択一で他意はないとのことです。巷間にいう天才と狂気は紙一重とか・・・。
近い将来、うつ病や統合失調症などの精神疾患の治療法はブロードマン25野(フィールド)の過剰電磁波を中和する振動を作り(心臓のペースメーカーの仕組みで)過振動を平準化することを目指すことになるだろう、ということです。アメリカのいくつかの大学病院では、既に数百人単位の、この方法による試験治療が数年前から行われているそうです。