先日、上毛町大字垂水【豐前國上毛郡】の牛頭天王公園(ごずてんのうこうえん)の川辺の駐車場をチョコチョコと歩いている白と黒の模様の鳥を見て、セグロセキレイ(背黒鶺鴒/Motacilla grandis)かと思い撮影して、その写真をよく見るとハクセキレイ(白鶺鴒)でした
ハクセキレイ(白鶺鴒)
[学名]Motacilla alba
[目]スズメ目
[科]セキレイ科
ハクセキレイ(白鶺鴒)は、頭上に黒い過眼線があるのが特徴。調べてみると、この過眼線がないのは、「頬が白い白鶺鴒」が名前の由来のホオジロハクセキレイ(頬白白鶺鴒/Motacilla alba leucopsis)。過眼線があり胸部の黒色が嘴の下までつながっているタイワンハクセキレイ(台湾白鶺鴒/Motacilla alba ocularis)など沢山の仲間がいるようです。
今回、撮影した写真の鳥は過眼線があり、胸部の黒色が嘴の下までつながっていないのでハクセキレイ(白鶺鴒)ですね。
もともとハクセキレイ(白鶺鴒)は、北日本の本州中部以南で越冬し繁殖する鳥らしいのですが、最近では繁殖地が南下傾向にあるらしく、ここ九州東部でも見かけることがあります。
およそ15cmくらいのスズメ(雀)より少し大きめの21cmくらいの小さな鳥ですが、尻尾を振りながら地面を歩く姿がとてもかわいらしく思えます。
『日本書紀』にも鶺鴒の記事があります。古くは「ニハクナブリ」と呼ばれていたようです。(この鶺鴒は、おそらく日本固有種のセグロセキレイかと思われますが、参考までに掲載させていただきます。)
陰神先唱曰 美哉 善少男 時以陰神先言故爲不祥 更復改巡 則陽神先唱曰 美哉 善少女 遂將合交而不知其術 時有鶺鴒飛來搖其首尾 二神見而學之 即得交道
【陰神(めがみ)先(ま)づ唱(とな)へて曰(まを)ししく。
「美哉(あなにやし)、善少男(えをとこ)を」
時(とき)に陰神(めがみ)先(ま)づ言(い)へる故(ゆゑ)を以(も)ちて、不祥(さがなし)と爲(な)して、更(さら)に復(ま)た改(あらた)め巡(めぐ)りたまふ。則(すなは)ち陽神(をがみ)先(ま)づ唱(とな)へて曰(まを)ししく。
「美哉(あなにやし)、善少女(えをとめ)を」
遂(つひ)に合交(みあは)せむとして其(そ)の術(みち)を知(し)らず。時(とき)に鶺鴒(にはくなぶり)有(あ)りて、飛(と)び來(き)たり其(そ)の首(かしら)尾(を)を搖(うごか)す。二神(ふたはしらのかみ)見(み)そなはして學(なら)ひて、即(すなは)ち交(とつぎ)の道(みち)を得(え)たり。】
~『日本書紀 卷第一 神代 上』 四段 一書第五~
これは、陽神(をがみ)【伊弉諾神(いざなぎのかみ)】と陰神(めがみ)【伊弉册神(いざなみのかみ)】の國生みの条で、「二柱の神が交合の方法を知らずにいた時、鶺鴒(ニハクナブリ)が飛んで来て、その頭と尻尾と振るのを見習われて、交合の方法を知られた」というお話です。
伊弉諾神と伊弉册神がお祀りされている神社で、神紋が「鶺鴒」になっているのを時々、見かけます。これは、その鶺鴒の神話が基になっているのでしょうね。
今、セグロセキレイ(背黒鶺鴒)を撮影しようとデジカメを持ってアチラコチラを散策中。近づき過ぎると、すぐに逃げてしまうので撮影が大変です撮影ができたらまた掲載させていただきます。他の鳥たちも…
今回、新設のテーマ「散歩道の野鳥」では、『豐國』で見かける鳥たちを紹介させていただきます。被写体が鳥だけに撮影にひと苦労しそうですが…今後ともよろしくお願いいたします。