掛川で足が折れて動かないと何時ものイワヤ製の犬の縫い包みが持ち込まれた。前足は片側が折れていて、後ろは左右両脚が布だけのブラブラ状態。足袋の中に骨格となる樹脂部品が無く、開腹して紛失していれば、再製はできないので修理不能でお返しするとの前提で預かった。家で調べると後ろ足の部品は、背中側の骨格の中に両方有った。ふいごの紙も破れ、尾も半分切れかかって、日頃かなりの手荒い扱いを受けていたものと思われる。
足はポリエチレン系の材質で、難接着材のため接着での修理はできない。今回もゼムクリップを一旦伸ばしてからU字状に曲げ、先端を固定するためのφ0.9穴をドリルで開け、エポキシで一旦鉄線を固定。硬化後にナイロンの組紐をカットしエポキシ接着剤を塗布しながらクリップ線に沿わせて、その上からミシン糸を巻きつけ、最後に糸の緩みとズレ防止で、更にエポキシを糸の上にも塗布して硬化させた。樹脂基材への接着は期待してなく、鉄線とFRP状態の紐によるギプス効果に期待した修理である。

 

 

尻尾は、インシュロックを釣り糸で巻き付け、要所をグルーで固定した。フイゴの破れは、フイゴ製作用に保存してある包装紙を糊付して塞いだ。

今回は、ここまで酷いのは、あまり見かける事のない、満身創痍のぬいぐるみだった