石段の手すりに、鮮やかな赤とんぼがひと休み。よく見ると、私と一緒に登るように、何度も石段を行ったり来たりしてくれる姿に思わず笑みがこぼれました。赤とんぼの真っ赤な色は、まるで秋の訪れを告げているかのよう。残暑がまだ厳しく、日中は汗ばむほどですが、こうした小さな自然の営みに、確実に季節が移ろっていることを感じさせられます。
赤とんぼといえば、子どもの頃に田んぼや野原でよく追いかけた記憶がよみがえります。今は石段の上で静かに羽を休める姿を眺めるだけで、どこか心が落ち着き、懐かしさと温かさが胸に広がっていきます。
もうすぐお彼岸。ご先祖様を偲び、感謝を伝える大切な時期でもあります。秋分を境に昼と夜の長さがちょうど同じになる頃、自然のリズムと人の暮らしが不思議と調和しているように感じられます。赤とんぼの赤は、そんな季節の節目にふさわしい色のようにも思えます。
季節の小さな気配を見逃さず、心に留めることで、毎日の暮らしがより豊かになるのかもしれません。

