こんにちは、渋谷です。
一世を風靡した石田衣良さんの「池袋ウェストゲートパーク」。ドラマが流行りましたねー。私は長瀬くんと同い年なのでよく覚えてます。って言っても1回も見た覚えはありません。多分その時間帯、仕事してたんだよね。
なぜ今この本を読んでみたかと言うと、オール讀物新人賞の受賞作なんですよね。この頃はオール讀物にも推理部門があったそうで、そちらの受賞作だそうです。
貴志さんに言われた通りに、過去受賞作を探したんだけど……原稿用紙100枚までの短編を対象にした賞だからか、本に纏まってるのがなかなか見つからなくて。この「池袋ウェストゲートパーク」は受賞作を1作目にした短編連作集なんですね。有名だし。てことは面白いんだろうと思って。
あと受賞作はオール讀物本誌のバックナンバーで探そうかな。で、「池袋ウェストゲートパーク」。受賞作である1話目は、めちゃめちゃ面白かった!
もう私がいちいち説明するまでもないのでしょうが、ざっくり言うとマコトという池袋の果物屋の息子が、ストリートで起こるいざこざをありとあらゆる手を使って収める話です。策略を巡らせたり盗聴器をしかけたりヤクザと渡り合ったり。
中でも1話目は、上質な中身の濃い青春ミステリーを、簡潔な文体を使ってぎゅっと短編に収めた傑作だと思います。ほんとーに面白かった。売春に暴力に虐待に暴れる変態に暗躍するヤクザ。暴くためにマコトが仕掛ける策略。私がこないだ書いた話とキーワードは丸かぶりですわ。中身は全然違いますけど。
とにかく私の好きなバイオレンス青春もの。面白かった。長編の中身を短編に圧縮してた。技術がいるんだろうなー。これぐらいやらなきゃ受賞出来ないのね。分かりました。頑張ります。しかし、しかーし。
2話目からはかなり退屈だったー。同じ風味のミステリーなんですけどね。面白くない訳じゃないんだけど退屈。なぜかと考えてみて、納得。
こないだ読んだ本で大沢在昌さんが言ってたんですよね。
「その時代の流行を書いた話は、熱を生むけど飽きられやすい。だから時代物は強い。古くなることがないから」
ははー……。なるほどねえ。そういうことなのか。「池袋ウェストゲートパーク」はもう20年ぐらいまえの話だもんねえ。PHSもカラーギャングもごりごりのヤクザももういない。ストリートにたむろするボーイズ、とかはっきり言ってダサい。今時の子はケンカなんかもせんだろうし。
だから話自体は面白いんだけど、なんか退屈なんだよね。シリーズは続いてますが、この先はもういいかな。1話目の熱を感じられたので満足です。あの熱が必要なんですね。うんうん。頑張るよ。他の受賞作も読もう。
というわけで初石田衣良さんでした!
ではまたー。