三秋縋 『君の話』 を読んで。




私に限らず、「昔こうしていたらな」「あんなこと忘れてしまいたいな」という願望があるはず。それが叶う世界観でのお話です。


偽物の記憶にのみ存在する女の子に恋をしているとその女の子が突然目の前に現れる。

その女の子は偽物の幼馴染なのに、偽物の記憶なのに、と混乱しながらも

惹かれていく、と言った感じ。





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一周目は友達に借りて読んでいたけれどA面は退屈な感じがしていました。


A面で考えていたことは、灯花の目的はなんだろう、千尋の虚構アレルギーはひどすぎないか、など。


読まずに返すのはなぁ、、、と思って読み進めたらB面で急に物語が進んだのがとても衝撃的。


B面は読んでいて灯花にあんなことがあったからこそのA面だと思うと胸が痛みました。

最後まで読むと良さがわかる作品だと思います。




千尋が灯花についての義憶に思いを馳せるシーンはどれも綺麗だなと感じました。


でも、その綺麗な義憶をちひろが望んでいるわけではないというのは心にくる。


私は灯花と同じく嘘が好きですね。

人が傷つくような棘のある嘘ではなく、私や私の大切な人が幸せになれるような優しい嘘。


私は大切な記憶が偽物でもいい、と思ってしまいます。

でも私は自分の過去を書き換えたいほど嫌っているわけではなくて、


千尋と灯花はそれぞれ嘘が好き、嫌い、とはっきりした自分の考えを持てているからこそ、

中途半端な私は読んでて少し疲れてしまいました笑


灯花の幼少時代は読んでてあまりいい気分はしません。義億技工士になってからやっと

灯花が本格的な人生を歩んでいけると思った瞬間、新型ADの発症に気づくのは

辛かったです。


でもこの幼少期と新型ADの存在がそれ以降の2人の関係や義憶の美しさを引き立てているからこのしんどさを耐えないといけないのではないかなぁと。


偽物の記憶を持ったもの同士のふたりがたった一度の夏でここまでの関係になったのは、

義憶の設定が幼馴染だったことが理由ではないと私は思います。

やっぱりこの世界に運命は存在すると思う!


もうこのお話は何周もしています。これからもまた何度も読むと思う。

私にとってこの本は、三秋縋さんの小説を読むきっかけとなった大切な本です。


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好きな言葉を記しておきます。


君は君の幸せを、もう少し信じてあげてもいいんじゃないかな。



私は、嘘が好きだよ。