やっと表浜の落ちギスの情報が入るようになった。表浜のキス釣りは結構デリケートで水温、波、風、濁りの条件が合わないと好釣果が望めない。等圧線内に伊勢湾と遠州灘がすっぽり包まれたらチャンス到来だ。

 日が昇ってしばらくした時刻に到着。浜辺を眺めるとキス釣り客が等間隔を空けて竿を出していた。急ぎ支度をして浜に降りてみると、入る余地が遠くの方までなかった。西の方向へ釣り人の動きを見ながらトボトボと歩き始めた。波風は穏やかで濁りも少なかった。しかし、バカスカ釣れている様子はなく釣り人の動きは総じて緩慢だった。

 やっと空いているところに入り込み、5本針でスタート。最近は右肩に痛みが走るので柔らかな調子のEX竿のしなりで投げることにした。4色弱を投げて仕掛けを引きずった。開始一投目は沈黙、二投目も沈黙。周りもキスを上げている感じはなし。即、自分に釣れるキスはここには居ないと判断して、100mほど離れた場所に移動した。しかし、ここも反応なし。結局5回の移動を繰り返した。このポイントに見切りを付けて車移動の必要を感じつつ、6回目の移動をした。すると、初めてコツっとした弱い魚信があり、釣り上げるとピンギス3匹と10cm弱のキスがお出ましになった。魚が居る事は分かったので、群れを見つけようと歩き回った。そうしてスタートからかなり離れた釣り人が薄くなった地点に到達。そこは沖に潮だまりが見えたので、その手前から引いてくるとキス特有の小気味よい当たりに次いで、20cm大の顔がやっと見られた。そのポイントが極めて波打ち際だったので、試しに2色から1色の範囲で探りを入れると1色で魚信が頻発した。連では掛からなかったがナイスサイズも混じり、少しずつ移動して数を伸ばした。

 午前の中盤に時合が到来し、時に連で掛かるようになった。ある時2つの魚信とほぼ同時に波打ち際で大きな引き込みがあった。マゴチが食らいついたのかと思い、切られないように祈りながら波長に合わせて引き上げると2匹のキスと40cm弱のヒラメがお出ましになった。ヒラメは針に掛かったキスを狙ってきたと思われ、残った空針の3本がヒラメの胴体の三カ所にアンカーになって貫いていた。通常は切られて当然のハリスが力を分散せた結果、運良く釣り上げられたのだ。何にしても嬉しいゲストだった。その後、あっという間に予定の餌を使い切ってしまい、名残惜しいが釣り終了。帰宅後は定番のキス天と、ヒラメの刺身を食した。残ったヒラメと大きめのキスは昆布締めにしておいた。