「俺の家涼しいよ。エアコンだらけだし。」



と言われてあがったら本当にエアコンだらけだったことがある。


これは?

「エアコン」


これも?

「エアコン」


どれを聞いてもエアコンだった。

挙句の果てには


「おい!お前エアコンの上に座るな!」


「何またエアコンの上に座ってんだよ!」


床にもエアコンが散乱していた。



どこに移動してもエアコンの間近の涼しさだった。


壁に飾ってあったモナリザの絵の近くが一番涼しかった。


これもエアコン?と聞く必要はないと思った。

彼の家のモナリザはモナリザでもありエアコンでもあったのだ!



俺が帰ろうとすると、エアコンを順番順番に全部指差して彼はこう言った。


「質じゃない。量だ!」




響いた。

彼の言葉がとても響いた。

俺は帰りにエアコンを大人買いした。

電気屋の店員が対応してくれたが、ほとんど対応出来てないに等しかった。

「何でこんなに…」

と店員からしたら買ってもらうのはプラスなのにも関わらずひたすら「大丈夫ですか?」的なことを言われた。

俺は店員に言ってやった。

「質じゃない。量だ。」

と。



そして家につくなりバカみたいだな!と思った。

電気代も洒落にならないだろうし。



翌日両手両脇にこれでもか!って程のエアコンを持って昨日エアコンを買った電気屋に行き「返品で」と言おうとしたその時、昨日買う時に対応してくれた店員がこちらに来てこう言ってきた。

「ですわな」

と。



昨日初めて会った人に「ですわな」と言われたのは初めてだし今後もないだろう。


「ですわな」に対して俺も「ですわな」と返した。


ですわななのである!