1974―9

 

#88

こんなケチ臭いものとは比べようもないんだよ

束の間であれ

彼もそれは確かめたんだから本当なんだ

お前さん 理性というものを もう一度疑ってみた方が

いいんじゃないかい

オイオイ お前さんは すぐそんな言い方をするから かなわんよ

決して 賢明であることを 皮肉ってるわけじゃないんだぜ

結果論的にいって お前さんの方が 分があるだろうよ

俺に 押し付けたりしない

でもさ 

妙な哀しさを持ちながらも

胸が震える覚えを 伝えたかったんだ

ちっぽけなちっぽけな それだからこそ

何の混じりけがないものからの 派生

歴史的な…? 

この際 どうでもいいんだよ

 

 

#89(11/22 朝日新聞「声」蘭を見て)

『孤りの対話』〈あなたへ捧ぐ〉

きょうは また一段と 寂しいのです

単純であることへの憧れ

頓着しないことなんて

できそうにもありません

それは 私だけが一番よく知っているからです

 

死んでしまった人よ

アナタのむせび泣きが

何分の一かは伝わってきます

支えきれない宿命の

何とはかなき存在だったのでしょう

否定したくとも 決して否定はできなく

それ故に 最も孤独であったはずなのに

 

私は 疑い思うのです

私が偽りなのか とりまく全てのものが無なのか

重々 承知もしているのです

決して 交叉することのないことは

 

きっとアナタは神に召されたのでしょう

唯一 神と対話できる人であったのだから

あなたの死顔は 本当は安らかだったのでしょう

たとえ 人が悲痛の落涙をその頬に垂れようとも

アナタは神になってしまった

 

そうして私は しばし何分の一かの哀しさを

ひきずってゆきましょう