1972―9
#49(12/12)
一条の光
いや、それを光と呼ぶには、あまりにも淡すぎる
不確かな光線ではあるが、たどる元には確かに光源があり
そして発する一条の光は、当初にあっては眼を射るものであろう
辿っていこう 闇に心を奪われことなく
瞬きをするな 目を凝らせよ しかし 挑むな
#50(12/16 )
幸いなれ どこの世にもあっても
この言葉は決して我々世代に向けられるものではない
我々はこの意味を知らぬ者なのだから
しかし、幾度かの、いや数えしれぬ波濤に身を浮き沈みさせ 挙句、年老いた両人
我々はその意味を杳は知らぬが それを幸と名付けられるものなら
永遠の平穏に身を委ねたまえ
#51(12/29)
自然の力強さ それも決して荒々しくなく
いくら比叡山にスキー場があったって
何台ものトラックで運んだ氷を砕き 人工雪なるものをホースで撒き散らす
たった小一時間の 風呂に入っている束の間に
自然は貴船の この視界の全範囲を 白く染めてしまった 深く滑らかに
やがてはこの四畳半の部屋を 真綿のようなその雪が 包み込んでくれよう