【所沢陸軍飛行学校入校】

   

父、保(後列左)

中隊全員(所校)

 

 合格発表日。午前十時に、所沢飛行学校入口前に集合する。係官の説明では、逐次合格者の名前を呼ぶから、呼ばれた者は門の中に入るようにとのことであった。私は名前の呼ばれる順番を、虎造の浪曲ではないが、一番二番と数えていた。五十番になっても私の名前が出てこない。やっと五十七番目に名前が呼ばれ、私は勇躍門の中に飛び込んだ。

 やがて一カ所に集められ、内務班の編成があった。第一内務班である。内務班長、○○曹長〈敢えて名前は伏字にします〉。藤田、川口、徳竹、長谷川、曽根石、田中、藤原、遠藤、大石、静藤、庄浦、大西、天川、村田、井関、高橋、小屋野の第一内務班十七名。指導生徒として一期生三名があたった。

 早速軍服を渡され、すぐに着替える。家から着てきたもの、持ってきたものは褌を除き、全て小包にして送り返す。十二時、食堂に案内され昼食会。校長、生徒隊長の挨拶があり、会食となる。紅白の饅頭が出たようにも、赤飯であったようにも思う。

 一時から内務班にて、服装、洗面具等を渡され、被服の整理要領や毛布のたたみ方、第一装用服のたたみ方を一通り教わる。その内に、三八式歩兵銃一丁と短剣が渡され、自分の銃入剣の番号を暗記する。この時より、「武器は人間の命より大切だ。すなわち、銃には菊の御紋章がある。畏れ多くも、陛下より頂いたものだ」と、今で言う『洗脳教育』が始まる。

 入校第一日目はゆるやかであったが、第二日目より所謂スパルタ式教育となった。午前六時起床。屋外に整列点呼。それから体操と続き、それが終わると内務班の毛布整理、掃き掃除、受け持ち区域の掃除となる。七時に、食堂に一斉集合し、週番士官の号令で朝食。朝食後は、八時迄身辺の整理、靴の手入、それに用便もこの時間帯が主である。洗濯物等は物乾所にかける。八時になると、取締り学生の命令で、外に集まり学科講堂へ。午前中学科、午後は軍事教練だが、順序が逆になる場合もある。

 

三八式歩兵銃と寝室(卒業写真貼より)