東京で建築中の住宅への放火事件が多発していますが、燃えてしまった住宅はどうするのだろうと疑問に持った人は多いと思います。こんな卑劣な犯罪から身を守るのが保険しかありません。
各損保会社からは建設工事保険が用意されています。
1 建設工事保険の適用期間
適用期間中でも工事の工程で補償されないものもあります。工事の工程別に組立工事保険や土木工事保険などを別途契約することになります。それでは面倒なので、初めからこれらの工程を包括的にカバーする保険契約も可能です。
2 補償の適用
地震や噴火、地震起因による津波には適用されません。またその他の自然災害でも基本補償でカバーするものや別途特約でカバーするものなど商品によって差異があるので、契約時に確認してください。
(一部抜粋)
事故事例
補償の可否
備考
火災
○
破裂・爆発
○
台風・旋(せん)風・暴風・暴風雨・突風その他の風災または雹(ひょう)災による直接の破損
○
風・雨・雹(ひょう)・砂塵(さじん)の吹込みによる損害は補償対象外
地盤沈下
高潮、洪水
豪雨による土砂崩れ
○または△
特約で契約するものや基本契約に含まれているものなどがある
地震・噴火
津波
×
落雷・暴風雨
○
車両の衝突
航空機の墜落
○
盗難
○
作業ミス
○
核燃料物質または放射能汚染等による損害
×
戦争・暴動など
×
3 保険金額
保険金額は対象工事の請負金額と同額で契約をすることになります。当然請負金額が大きい工事は保険料が高くなります。
4 補償を受ける人
一般的に工事を請け負った建築会社が加入する保険ですが、建築工事にはいろいろな業者の方が関わります。被保険者には工事業者(元請負人)のほか、発注者やその他の工事関係者等を被保険者に含める必要があります。
5 保険金の算出
(1)損害保険金の算出
損害保険金= 復旧費 + 損害の拡大防止費用 - 残存物価額 - 控除額≦ 保険金額
①復旧費
損害発生直前の状態に復旧するために直接かかる費用。
②残存物価額
損害が生じた保険の対象の残存物の価額
③控除額
契約時にあらかじめ設定。
火災・落雷・破裂・爆発による損害は通常0円に設定されます。
(2) 残存物取片づけ費用
残存物取片づけ費用= 保険の対象の残存物の取片づけにかかった費用≦ 損害保険金 × 6%
損害保険金が支払われる場合、損害が生じた保険の対象の残存物取片づけに必要な解体費用、取り壊し費用、取片づけ清掃費用および搬出費用を損害保険金の6%に相当する額を限度で支払われます。
(3)臨時費用保険金
臨時費用保険金 = 損害保険金 × 20% ≦ 100万円
損害保険金が支払われる場合、損害保険金の20%が支払われます。(100万円が限度)
6 まとめ
今回の放火事件では、上記の保険契約がなされていたか心配ですね。もし保険に未加入であれば、全額工事関係者が負担しなくてはなりません。復旧ができなければ、マイホームの完成どころか建築会社が資金に行き詰まり倒産しかねません。そうなったら前払いで一部建築資金を支払っていた注文者は、「マイホームは建たない・建築資金は戻ってこない」などの危険があります。ぜひ購入契約時にそれらの保険について確認してください。
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