英語の冠詞って難しいですよね。。。

私なりにハッと気付かされたのが、マークピーターセンさんの「日本人の英語」

これは目から鱗レベルです。

 

 

ピーターセンによれば、冠詞を巡る統一的なルールは「文脈による」ということしかない、とのこと。

なかなか心もとないですが、そんなもんなのか、と改めて頭をリセットして考える良いきっかけになりました。

例えば我々が学校で習った固有名詞も文脈によっては普通にtheがついたりしますよね。

I'm taking about the Mr. Brown we met a week ago!(1週間前に会ったあのブラウンさんのことだよ!)とか。

 

ということで、ワシントンポストのヘッドラインから以下の例文について考えてみたいと思います。

 

President Biden has ordered a reevaluation of the longstanding U.S. relationship with Saudi Arabia as Democrats fume over OPEC‘s decision to cut production, the White House said on Tuesday.

 

まず、reevaluationはこの書き手からすると、形ある、数えられるものと認識されてることがわかります。aが付いてますからね。one of many reevaluationsということですね。いろいろな再評価がなされている、色々評価が存在しうることが想定されるけれど、その数ある中の(一つの、とある)再評価を求めた、ということです、といった意識ですね。

 

the longstanding US relationship with Saudi Arabiaは、a longstanding...と不定冠詞をつけることはできるでしょうか。

仮にそうすると、米サウジアラビアの長期間の関係がパラレルで複数存在してしまうことになりますが、それはおかしいですよね。長期にわたる米サウジアラビア関係の一つ、とは言えないですもんね。なので自然とtheがつきます。the White Houseは、慣用句としてもう定着してしまってますが、theをつけないのと単なる数多くある白い家になってしまいますね。theがつくから、読んでいる人は、あのホワイトハウスだということがわかるわけですね。書き手もそれを意識しています。The New York Times, The Japan Timesなんかもある意味同じ発想ですね。地名タイムスというのは典型的なメディア媒体の名前となり得るので、いやいやあり触れた、世にたくさんあり得べき(現実問題たくさん存在しているわけではないけどあってもおかしくない)New York Timesの単なる一つではなく、世界で唯一無二の、皆が知ってるthe New York Timesだよ、というのをアピールするために定冠詞を付けたんですね。誰かが、theはスポットライトが当たるイメージと言ってましたが、そういうことですね。

 

ピーターセンの本を読むと出てきますが、ネイティブは、名詞を考えるときに、まず無冠詞なのかaかtheか複数形かを考え、意味カテゴリーをざっくり分類して、それからそれに続く名詞を考えるということでした。例えば、It's an an an...an apple! とanがまず来て(何か数えられるような一つの意味カテゴリーを思いついている状態)、それにappleがくっつくという感覚だそうです。我々が英語の授業で習うのと全く違う発想ですよね。

 

私が初めてアメリカ行ってレストランで座ったとき、米国人の友人が、Can I get two coffeesとか言ってたのを聞いて、こいつ英文法間違ってるとか思いましたが、感覚として彼の中には、coffeeはコップに入った一つのコーヒーセットが浮かんでいて、それを二つちょうだいな、とオーダーしたということですね。それでしっかりオーダー通じてたので、もはや米国ではa cup of coffeeではなく、数えられるcoffeeが定着していると言ってもよさそうですね。