こういう記事があるから新聞を読むのが止められない。
国会って、楽しいところみたいだ。

先日、陳情のために国会へ行ったのだけれど、
個所付けが実現したみたい。

政治献金を要求されないかしら。


風知草:新インサイダー政治?=山田孝男

毎日新聞 2010年2月15日 東京朝刊

 節分からの1週間、国会は公共事業の「カショヅケ(個所付け)」でモメた。

 個所付けとは「何県何市の××道路に何億円」のたぐい。国の公共事業予算配分の具体的な情報をいう。

 1月末、民主党は、地方組織を通じて自治体にそれを伝えた。自民党時代より早く、自民党よりも無邪気で露骨だったから自民党が怒った。なにしろ、7月に参院選がある。

 自民党は「国会にも資料を出せ」と迫ったが、官房長官が拒んだ。それでますます自民党は怒った。怒り狂って追及が上滑りした自民党に代わり、民主党の対応のまずさを鋭く突いたのが片山善博慶応大教授(前鳥取県知事)である。

 片山はこう言った。

 「政府の対応は姑息(こそく)で情けないほど低レベルだ。自民党の方がまだコソコソと節度を持ってやっていた。(中略)『こんなレベルの低いインサイダー政治をやめよう』というための政権交代だったのではないのか」(本紙6日朝刊)

 9日の衆院予算委で、公明党の富田茂之が本紙記事を引いて質問した。片山談話の「自民党の方がまだコソコソと節度を持って……」というくだりを富田が読みあげると、満座の議員がドッと笑った。

 政府は翌日、国会に資料を出した。野党は内容が不十分だと反発してなおモメているが、そのことはおく。

 それにしても「コソコソした節度」とはどういうことか。国土交通省のお役人に自民党時代の慣行を聞いてみた。

 「国会議員ごとにキメ細かく要望の強い事業のリストをつくって管理し、事業費の配分に配慮します。国会議員を、予算審議などへの貢献度や政治的発言力に応じてランク付けし、個所付け情報提供の日程に微妙な差をつけるのです」

 道路関係なら「道路族主要議員」「主要議員候補」「道路局が親しい議員」「その他すべての与野党議員」の4ランク。3月末の予算成立直前、ランクが高いほど1日ずつ早く、最大3日の時差をつけて情報をコッソリ流したという。

 自民党議員は日ごろから選挙区の自治体や経済界の要望を聞き、個所付け情報を素早く伝えて頼りにされる。見返りに地域の政財界は自民党の選挙を支援する。このなれ合いがインサイダー(=身内に有利な)政治の腐敗を生んだ。

 民主党は、このゆがみを正すと訴えてきた。前原誠司国交相も、馬淵澄夫副国交相も、そのために予算決定過程を透明化すると請け合ってきた。個所付けは、国会にも、自治体にも公表する意向だった。

 1月半ば、それでいいかと政務官が党に相談したら、副幹事長が「国会はやめておけ」と止めた。理由は「国交省はJALも八ッ場ダムもある。これ以上、国会審議の足を引っ張るネタを持ち込むな」だった。

 それでいて民主党は、自治体には個所付けを伝えた。それも公然と、これ見よがしに。民主党中心のインサイダー政治へ再編する気かという批判が出たのは当然である。

 すべては剛腕幹事長の差し金だという話になりがちだが、そうとも言い切れない。個所付けをめぐる政府答弁と民主党の国会対策の混乱は、小沢一郎の選挙至上主義が徹底していない証拠とも見える。

 民主党はどんな政党になるのか。大きな岐路にさしかかっている。(敬称略)(毎週月曜日掲載)