「らくごのご」(1996.10.17テレピ朝日(関東))
毎度おなじみの桂ざこばと笑福亭鶴瓶の「らくごのご」。
ゆきえさん、白に小さな赤の水玉の上着と白のパンタロン。
久し振りに鉄瓶デー。出演は林家こぶ平。

ゲスト:細川 ふみえ

テーマ:グルメ

お題:赤いバスローブ、スイミング、おでこ

こぶ平師匠
おなかすいた。レストラン「グルメ カイパン」に入る。<赤いバスローブ>着てい
る--板さん。まずいと言うと拳骨。最初の料理が<スイミング>。鶏の笹身のよう
なもの。思わず「まずい」と言う。拳骨。「おでこだけに、「ひたい」」。これはな
んの肉。「スイミングだけに、蛙の足」

ざこば師匠
晩御飯を食べる。味噌汁。うまくない。自分で作れと言われ、料理を習いに行く。
布巾を用意するように言われる。<赤いバスローブ>を切って、布巾にする。吸い物
を試す。ちょっと<スイミング>。おこぜの料理をする。尻尾から名前を聞いていく。
魚の目の上はなんという。<おでこ>。スイミングで料理するよう言われる。どんな
料理か。「バター・フライ」

鶴瓶師匠
<おでこ>料理を食べに行く。<赤いバスローブ>に着替える。魚料理。ネタは何にす
るか。まぐろを選ぶ。バスローブを脱げ。魚の泳いでいるプールで、<スイミング>
して、望みの魚を取りに行ってもらうといわれる。まぐろを取りにいくが、違う魚を
取ってくる。2、3回繰り返す。
なんでこんなにするのか。おでこやから「食べたい熱を計る」

さてお待ちかねの拙作です。
  (実在の場所、人物等と一切関係ありません)

セーやん「キー公、いてるか」
キー公「あ、セーやんか」
セ「どないしてん、最近、顔を見せんが」
キ「バブルがはじけてから調子悪いねん」
セ「バブルがはじけたて、何年も前の話やないか」
キ「いや、最近会社がつぶれたんや」
セ「そら気の毒やな、そやけど、それがバブルとなんで関係あるねん」
キ「その会社、シャポン玉の材料作ってたんや」
セ「シャポン玉、それでバブルかいな」
キ「風船も作ってたんやで」
セ「バブルづいてるな。それで今どないしてんねん」
キ「動いたら腹へるよって、ふとんの中にすっこんでるねん」
セ「そんなことしてたら病気になってしまうで、起きてき」
キ「なんぞ、食べさしてくれるか」
セ「意地汚いな」
キ「昨日からなんも食べてないねん」
セ「マ、食べささんこともないがな、ちょっとつきおうて」
キ「うん、食べさしてくれるんなら、なんでもする」
セ「こわいな、親でも殺すみたいな勢いやな」
  (車の中。清八が運転している)
キ「セーやん、そこらで、ラーメンでも食べさしてもろたらええんやけど」
セ「なに言うてんねん、そんなみみっちいこと言うてたらあかん、活け造り、食わし
  たる」
キ「活け造りて、鯛か、鯛やったら、明石の鯛が有名やけど、ちょっと方角が違うな」
セ「ここをな、北へ北へ行くとな、ちょっと人の知らんところがあるんや」
キ「そうか。なんでもええけど、車にゆられたら、なんか急に腹減ってきて、ほんま、
  ちょっとどこかで、にぎり飯か、バンでも食べんと、目が回りそうや」
セ「しょうないな、ほな、そこの、パ-キングエリアに入ろか」
キ「あそこにうどん屋がある。こっちは饅頭屋か、軽食もあるなあ、何にしよ、セー
  やん、何がええ」
セ「あんまりようさん食べたら、かんじんのもんが食べられへんようになるで」
キ「わかってる。ちょっと金貸して」
セ「あー、しようがないな」
  (間)
キ「腹に物が入ったら、落ち着いたわ」
セ「ほな、いくで」
  (間)
セ「あ、ここや、ここや」
キ「大きな池やな、ここやったら泳げるんやないか」
セ「今はもう気温が低いよって泳げへんけどな、夏には<スイミング>スクールもで
  きるんやで」
キ「そやろな。水がきれいやな、こんなとこがあったんやなあ」
セ「多目的ダムの人造湖やけどな、どっかに湧き水があったらしい。水がきれいやか
  ら、夏には各地からキャンブに来る人の絶え間がない。あそこにバンガローがで
  きて、簡単に泊まることができるようになったから、よけい、人が多なったな」
キ「ハァ、夜に泊まるとこ借りるから晩借ろ(バンカロ)か」
セ「バンカローやない、バンガローや。--さあ、着いたで。--おっちゃん、また
  来たで」
男「あ、おこし」
キ「セーやん、着いたて、ここで何すんねん」
セ「ここで魚を釣るねん」
キ「魚釣るて、釣ったやつを食べるんか」
セ「そうや、とれたてやで、イケスにいるような半病人の魚と物が違う」
キ「ワイ、魚釣ったりしたことないで」
セ「心配しいな、ちょっとしてたら慣れるわ。今はな、夏だけやのうて、年中遊べる
  ように、魚放して、釣りができるようになってるねん。中でもブラックバスいう
  魚はな、ワザワザ外国から輪入してるんやで」
キ「そうかいな」
セ「今はな、スポーツフィッシングいうのも盛んなんや」
キ「スポーツフィッシングてなんや」
セ「釣る醍醐味だけ味わうんや、大きさとか目方とか目標決めて魚釣ってな、順位が
  決まったら、釣った魚をまた、戻してやるねん」
キ「そうしたら、魚が減らんわけやな」
セ「そうや、乱獲で絶滅することはないわな」
  (間)
キ「あ、ひいてる、ひいてる。--お、はねよった。一-なんか、鯉でもひっかけた
  かな、赤かったで」
セ「なに、赤い色してた。えらいもんひっかけよったなあ、あれはここの主やで、何
  年生きてるかわからへんねん。それで、色が薄れて、赤なってるんや。ちゃんと
  調子合わせよ、逃げられてしまうぞ」
キ「ウワー、どんどん糸引かれてしまう。もうじきなくなってしまうで、このままや
  と、ワイ、水の中へひき込まれてしまう」
セ「心配しいな、ここに、細目のローブを用意してある。これを、釣り竿にこうむす
 で、これで抜けへん」
キ「<赤いバス、ロープ>でひっぱるんか?」
セ「そうじゃ、あんじょうせーよ」
キ「ワイもうあかん、セーやんかわって」
セ「よし、かわれ--オー強いひきやな、さすがは主言われることはある。こういう
  ときはな、どんどん糸を操り出して泳ぐだけ泳がして、疲れさせるんや。(間)
  それ、それ、静かになってきた。ここでゆっくり、たぐり寄せる。(間)
  さあ、寄ってきたで。そこに柄の長いハンマーがあるやろ。そいつでな、<おで
  こ>を思い切り、ごつんとやって」
キ「そんなことしてもええんか」
セ「かまへん、早よせな、逃げてしまう」
キ「ほないくで」
セ「こら、アホ、こっち向いて構えてどないすんねん、魚の方、向かんか」
キ「あ、そうか、魚をどつくんか」
セ「何考えてんねん、そんなもんでどつかれたら死んでしまうがな」
キ「そやろ、セーやんの活け造りなんか食べられへんもんなあ」
セ「食う気でいてけつかる。あんじょう構え、そら、たぐり寄せるからな、おでこや
  ぞ、他のとこ、叩くなよ」
キ「わかってる。食うことがからんだら、わい、しっかりやるねん、--それ、エイ
  ヤ」
  (間)
セ「よう釣ったな、この池の新記録やで」
キ「どないして食べるんや」
セ「まだ腹が減ってんのか。これだけの大きさや、半身は刺身にしよか。半身は鍋や
  な、ここの名物の大大根を笹がきにしたのと一緒にしてたいた、うまいんやで」
キ「釣るときはおでこ叩いて、食うときは大デコでたくんか」
                                 (終わり)