こだわり野菜が「主役」の蒸しセイロが人気
東京・築地 旬彩「Tsukiji HARUTA」魚や豚肉と一緒にセイロで蒸された野菜の彩りが綺麗な「せいろと古代米の定食」(1000円)。プラス150円で古代米を日替わりの「おこわ」に変更できる こちらもランチで人気の「野菜とキノコのせいろ定食」(1000円)。野菜だけを楽しみたいなら、こちらがお勧めカウンターには野菜がどっさり入ったカゴや、入荷した野菜のリストが書かれた黒板が置かれている。毎日野菜が届けられるので、黒板のリストは毎日書きかえる4人掛けのテーブル席やソファー席が並ぶメーンダイニング。けいこ場だった為、天井が高く開放感がある 店内のらせん階段を上ると、隠れ家のような雰囲気満点の個室が現れる夜もこだわり野菜をふんだんに使ったオリジナル料理を用意。手前左から時計回りで、エビのロールキャベツ(900円)、God’s(ゴッツ)クレソンサラダ(800円)、春キャベツとレア・シュリンプの生春巻き(マンゴーのぴり辛ソース付き、1本350円)ディスプレー用の野菜が飾られた木製の手押し車とメニューの看板が目印
たっぷりの野菜と古代米を使った蒸しセイロのランチが、おすすめです。夜もこだわりの野菜料理がいっぱいです。(東京・ペンネーム:朋蔵さん、30代女性)
晴海通りを銀座から築地方面に向かい、京橋郵便局手前を右に曲がり少し行くと、木製の手押し車に飾られたディスプレー用の野菜とメニューの看板が見えてくる。階段を下りて入った店内は、出入り口から見て左手に調理場の見えるカウンター席、右手のメーンダイニングにはソファー席や4人掛けのテーブル席が並ぶ。
席に座り、手に取ったメニューを見て戸惑った。投稿にも書かれていなくて、下調べをせずに取材に来てしまったのが悪いのだが、せいろ定食は「せいろと古代米の定食」と「野菜とキノコのせいろ定食」の2種類あって、おすすめはどちらなのか分からなかったからだ。
「余分なものを落として、素材本来の味を引き出す蒸しセイロは人気のランチです。どちらもたっぷりの野菜と、古代米のひとつとして知られる黒米を1割ほどブレンドしたお米を蒸し上げています。野菜だけを堪能したければキノコも入った『野菜とキノコのせいろ定食』を、野菜だけでは物足りないなら魚や豚肉が入った『せいろと古代米の定食』をお好みで選んでください」と、佐藤慎也店長は教えてくれた。
どちらも人気と聞いて、迷うことなく両方の定食を注文した。食べきれるか少し心配になったので、特別にご飯だけ1人前にして貰った。 注文が終わり、ひと安心したので店内を見渡してみる。カウンター席の目の前には野菜がどっさりと盛られたカゴが置かれ、メーンダイニングのテーブルに掛かった赤いテーブルクロスが気軽に楽しめるイタリアンレストランのような居心地の良い雰囲気。さらに店内には、高さ5、6メートルはありそうな天井までとどく螺旋(らせん)階段もあって、上には隠れ家のような個室もあった。グループで来ても、友人や恋人と来てもいい感じだ。
そういえば、ビルの地下とは思えないほど天井が高いのはなぜなんだろうと、佐藤店長に聞いてみた。「この建物(名)に『新橋演舞場別館』とあるように、以前は歌舞伎のけいこ場として使われていた」とのこと。確かに、天井には舞台用の照明を取り付けるための柱らしきものも残っている。
そうこうしているうちにランチが運ばれてきた。セイロのフタをあけると湯気が立ち上り、つやつやで鮮やかな赤や黄色の野菜と、まるでアジサイのような薄紫色の丸いご飯が目に飛び込んできた。ポン酢か、特製の落花生だれをつけて食べてみる。どれも、香りや歯ごたえがあって、そのまま食べてもいいのではと思うほど、しっかり野菜の味がする。豚や魚の脂や臭味が抜けて、さっぱりとしていて食べやすい。古代米の入ったご飯も、少しもっちりとした食感があって、お赤飯のような感じでおいしい。ご飯は、プラス150円で、日替わりのおこわに変えられるという。
「セイロのランチは、昨年7月にオープンした時からのメニューです。お客様の希望もあって、日替わりの定食とどんぶりも用意しました。こちらも自慢の野菜をそえたランチです。注文時に言ってくだされば、古代米のご飯は大盛りにできます。野菜が中心でヘルシーなのでお客様の約8割が女性ですけど、味も量も男性客の方にしっかり満足していただけると思います」と佐藤店長。
夜の料理も、もちろん野菜が「主役」。国内の契約農家から仕入れた野菜をふんだんに使ったオリジナル料理が、ワインやカクテルといったお酒と一緒に楽しめる。仕入れ先や野菜や在庫が日々変わるため、店内の黒板に書かれた野菜のリストや夜の特別メニューは、ほぼ毎日書き換えられるほどだ。もちろん、季節によって採れる野菜が変わるので、夜の定番メニューも2、3カ月ごとにすべて入れ替える。
ランチをたっぷり味わって、会計をお願いした筆者に店長は話した。
「ランチの蒸しセイロや日替わり定食も含めて、調理方法は和洋中にとらわれず、野菜の持っている素材の味を一番引き出せるかどうか考えています。お客様に『何料理屋ですか?』と聞かれると、『野菜屋です』と答えたいくらいこだわっています」
お店情報
■ランチメニュー
せいろと古代米の定食(1000円、+150円で古代米を日替わりの「おこわ」に変更可)、野菜とキノコのせいろ定食(1000円、+150円で古代米を日替わりの「おこわ」に変更可)、蒸し鶏と旬菜サラダランチ(古代米のおこげ付き、1000円)、本日の日替わり定食(1000円)、本日の日替わりどんぶり(850円) ※ランチデザート&ドリンクセット(ランチ限定 350円、ドリンクとデザート単品 200円)
■住所
東京都中央区築地 4―2―11 新橋演舞場別館 地下1階、電話03―6807―0051、営業時間=ランチ 11時半~14時、夜 17時~23時(ラストオーダー22時)、定休日=日曜、祝日、席数=50席、喫煙=ランチは禁煙、夜は分煙 ※24時間予約できる予約サイトは、http://www.delithy.co.jp/(パソコンのみ
美味しい野菜をちょっとずつ、いろいろ
東京・赤坂 「あかさか小鉢や」ランチメニューの有機野菜のプレート(1300円)。7種類のおかずと玄米ごはん、リンゴのデザートが乗っている赤坂の静かな路地に面する「あかさか小鉢や」店内の様子。カウンター内から女性スタッフが暖かく迎えてくれるテーブル席。落ち着いた雰囲気の中で食べられる
「野菜に目がない」という友人が、とっておきの店と教えてくれたのが「あかさか小鉢や」。おいしい野菜をちょっとずついろいろ味わえる。欲張りだがヘルシー志向な人にぴったりな玄米菜食の店だという。近頃はめっきり野菜不足気味ということもあって、早速行ってみることにした。(アサヒ・コム編集部 吉岡久美子)
東京メトロ千代田線・赤坂駅から徒歩4分、にぎやかな通りから路地へ入る。入り口を開けると野菜や果物が所狭しと並べられている。この店の主役は野菜。魚や肉を使わないマクロビオティック製法に基づいてつくられた家庭料理を提供する。女性スタッフが優しく出迎えてくれた。
昼のメニューは野菜のランチプレート(1300円)のみで、サラダバーとみそ汁がつく。大きなプレートに玄米ごはんと有機野菜を中心としたおかずがきれいに盛り付けられており、どれから食べようか迷ってしまう。
本日のメーンはじゃがいものコロッケ。コーンに加え、ひき肉のような食感のグルテンミートを使っている。自家製の梅干しのソースがアクセントのサツマイモやにんじんは少し固めに蒸してあり、甘みがあり、食べごたえも十分。蒸した小松菜はやや薄めの味付けだが、野菜本来の味が生かされている。できるだけ皮をむかないで調理されており、「大地のめぐみ」をまるごと食べている気分になる。
みそ汁は魚などの動物性のだしを使わず、昆布などを使う。プレートには少し酸味のあるリンゴのデザートも乗っており、さっぱりとランチを締めくくった。
店主の柴田有理子さんは、「薄味のものだけでなく、しっかりした味付けのものを組み合わせ、野菜だけの料理でも食べたという達成感を出すように工夫している」と話す。コンセプトは「おいしいものを少しずつ」。ちょっとずついろいろな種類のものを食べたいという思いがあって、現在のスタイルを考えたという。
女性客がほとんどかと思いきや、健康に気を使う男性も多く訪れるという。店名に「小鉢」とあるように、夜は小鉢料理が出される。遅くまで働くビジネスマンが夜食に立ち寄ることもあるそうだ。こんな店が近所にあれば、どれほどありがたいことか、と思った。
お店情報
■メニュー
ランチメニューは有機野菜のプレート(1300円)。夜のメニューは野菜ばっかり小鉢(3500円)、野菜のグラタン(1400円)、自家製みそ料理や季節野菜のコンソメスープ煮(650円~)など
■住所
東京都港区赤坂4-3-11 高嶋ビル1F 営業時間=ランチタイム:11時30分~13時30分、ディナータイム:17時30分~22時30分(L.O.21時30分) 定休日:土・日・祝 禁煙 席数=カウンター10席、テーブル6席
本場ブルターニュの「ガレット」
東京・神楽坂「ル ブルターニュ」
オニオンのシードルコンフィ。具材が詰まっており、見た目よりボリュームがあるランチタイムには、店内は満席にブルターニュで作られたシードルボウルで味わうキャラメル ブールサレ。ほろ苦く、すっきりした甘さのキャラメルは絶品陽の光が差し込んで心地よいテラス席
神楽坂に住む知人から、本場ブルターニュの「ガレット」が食べられるお店があると聞いた。ランチタイムには行列が絶えないガレットの専門店だという。そもそもガレットとは?クレープとは何が違うのか?
東京メトロ・飯田橋駅から徒歩5分。ひっそりとした石畳の小路に入ったところに「ル ブルターニュ」はある。フランスの片田舎のカフェのようなお店の表にはテラス席が並び、暖かい光が差し込んでいる。神楽坂ならではの落ち着いた雰囲気だ。
ところで、ガレットとクレープの違いは何なのか。早速、聞いてみた。
ガレットは、ブルターニュ地方の郷土料理で主食として育まれてきた「そば粉のクレープ」。日本でクレープというと甘味のデザートを連想しがちだが、本場ではガレットをメインに、前菜からデザートまでフルコースで楽しむという。
今回いただいたガレットは、人気商品の「オニオンのシードルコンフィ」。片面だけこんがり焼けた丸いガレットが、卵とチーズ、オニオンを包みこんでおり、その大きさと重量感に驚かされる。かりっとした生地に、ほんのりとそばの風味が香ばしい。できたての生地の上でグリュイエールチーズがとろけ、甘く煮詰めたオニオンが絶妙だ。
ドリンクにはシードルをセレクト。ぶどうよりもりんごの産地として知られるブルターニュでは、日常でよく飲まれているりんご酒だ。素朴な味わいで、ガレットとの相性は抜群。専用のシードルボウルに入れていただいた。
デザートは、ブルターニュの塩田からとれる塩を使った塩バターキャラメルソースのかかった「キャラメル ブールサレ」。こちらはクレープだ。ガレットよりももちもちしていて、日本でおなじみのクレープのイメージに近い。焦げたキャラメルのほろ苦さも手伝い、甘みが口にひろがる。クレープの上で溶けていくバニラアイスと合わせて、さらにまろやかな味わいになる。おなかは既にいっぱいだったはずなのに、1枚食べきってしまった。
パリにある同店は、名のある女優や有名人行きつけの店だという。フランスの高級日刊紙フィガロでクレープ店No.1に選ばれたことも。
そんなパリのお店の味をそのままいただけるのがこの店だ。フランス人オーナーが日本の「クレープ」にがくぜんとしたことが、出店のきっかけだという。「日本人向けのお味ではないのかもしれませんが...」とスタッフは言うが、ランチタイムに毎日できる行列が、おいしい食事は世界共通だと物語っている。
お店情報
■メニュー
■住所
東京都新宿区神楽坂4-2 電話03-3235-3001、ランチタイムは11:30~15:00。週末の予約は、4,5日前迄にしておくのが安心との事