怖い夢から覚めて気づいたら3時半前だった。

夢であってよかったと思う。

 

連れ(友だちか誰か不明)が乗り込むクルマ(巨大なオモチャ?)を後ろから押しながら、商業ビルの中をゆく。

進路にはいろんな荷物や商品が積んであり、思うように進まない。

 

たどり着いたのはエレベーター乗り場の前だった。

複数のエレベーターが行き交うその場にいた時には、連れはいつの間にかクルマを降りており二人で立ってエレベーターを待っていた。

 

いま何階にいるのかは認識していないけれど、一番左側のエレベーターだけが今いる階より下に降りるしかなく、まだ乗ったことのないエレベーターのように見えたのだった。

 

それを選んで乗り込み降りた先は、広い娯楽施設のような空間だった。

暗い中でネオンのような光が煌めいている。

まだオープンしていない様子で、実に多くの先客が列をなして並んでいた。

客の中にはタバコを燻らしている人も少なくなかった。

 

待っていると、館内放送が流れる。

当店の先日の不祥事を承知した上で来店しているはずだから、吸っているタバコは違法の大麻と同等に判断される、ということだった。

 

よくわからんが、そういうことなのだろう。

 

客の列の中を彷徨っていると、昔デイケアで一緒だった女の子に出くわす。

その子は、周囲の知り合いたちにタバコがわりのラムネだかミントだかを配っていた。私の存在に気づいた彼女は、私たちにもそれをくれた。

 

彼女を連れて3人でその場を抜け出した。

(ここで内容を端折る)

到着した先は、釣り堀のような養殖場の池のようなあるいは生簀のような場所だった。

その淵で様子を眺めている私たち3人の両端には、さらに大勢の人たちも参加していた。

 

右の端から、食堂の店主のような人が、アジに似た30cmほどの魚を取手の長いアミで捉えようとしていた。

すると、私たちの左側にいた40代と思われる中年男性が、待ちきれずに別の魚を捕まえて生のまま頭から齧り付いた。

 

もし店主が怒って、アミを勢いよく男性の口目掛けて振り下ろしていたら、食いかけの魚と一緒に男性の唇も持っていかれたに違いない。

でもそうはせずに、一生懸命別の魚を捉えようとしていたところへ、魚を食いながら男性が言い放った。

おいおい、邪魔しないでくれ。邪魔したら、あんたのクビが飛ぶかもしれんよ。

会社経営者であろうと思われる彼は、つまり権力を傘に圧力をかけたのだった。

 

それを聴きづてならぬと立ち上がったのが、私たちの右側にいたアラ還の男性ふたりだった。

ふたりは池の左端の淵に立ち、これから会社経営者に与える制裁の正当性をそのうちのひとりが訴えた。

 

なあ、おっさんよ、ちょっとツラ貸してくんな。

と言って、ふたりはトランプのカードを手に持ち、経営者の唇付近を変わるがわるに横方向に切り刻んで行った。

すると今度は、斜めにもカードで切れ目を入れていった。

まるで、あじのたたき か なめろう のように見えた。

 

あ~ぁ、この経営者の唇が元に戻るには膨大な時間がかかるだろうと思われた。

そう感じながらも、目の前で行われている制裁に縮み上がっていた。

 

息を止めていると、この悪夢から覚めたのだった。

iPhoneを見ると、3時すぎだった。まさに惨事だった。