ウィリアムス浩子さんの歌声に初めて出会ったのは、去年の10月に行われた北浪良佳さんのライブの時だった。
綺麗で穏やかなオーラを纏った女性がカウンターに座る僕の傍で立っていた。もうすでにその佇む存在から音楽の波長を感じる。まだ彼女を知らないまでも"音を奏でる人”であることを僕のアンテナは察知してしまった。
北浪さんの演奏中、彼女は紹介され、東京を中心に活動するJazzヴォーカリストであることを知る。
そして初めての名古屋で、1曲ではあったが歌声を披露した。それでも彼女の実力、魅力を伝えるに充分だった。

$即興的”夜”演奏会(jazzライブ)ノススメ-Williams 浩子

下支えのある柔らかい声質に、歌詞の世界観を紡ぎ伝えるような唄い方。深く僕の内側に沁み込んでくる。しかも豊かな感覚で...。本当に心地よい。
しかしJazzとはいえ、ゴスペルやブラック系ソウルでは無く、ましてや熱い燃焼ヴァップ系というシンガーでもない。(きっと彼女自身もそう思っているのではないかな)
凡そ、原曲を受けて独創フレージングのアドリブや底響きから張り上げ等の表現を駆使する方が、いかにも"Jazzボーカル"という観もあるが、彼女の歌は違っていた。決して曲をいじりすぎない。多くのヴォーカリストは引き出しを存分に使って遊んでみたくなるものだが、彼女はその部分では正反対。”慎重に”用いる。曲の世界を引き立てるためにだけ、吟味した遊びを用いるに止めている。そう、彼女の魅力を伝えるにはきっと、系譜や唱法の違いを語るのは正しくない。もっと本質の部分。
それは、「原曲に対しての向き合う深さが違う」というところ。曲を真にリスペクトし、自分自身に染み込ませてゆく。そこから彼女のアプローチを含めたスタイルの全てが導かれている。美しくも行き届いた発音から空間に放たれるWordの一つ一つが、作者が描いたであろう無垢な詩の世界をたおやかに表現してゆく。原曲に流れている情感を深く掴み取り、そして忠実に唄い伝えたい。
ぜひライブに行って感じてほしい。そんな彼女の真摯な姿勢が、誰にでも伝わってくるだろう。








WilliamsHirokoFanさんのライブ録音での映像(ありがとうございます。チャンネル登録もしてます)

先月の名古屋でのライブは都合で行けなくて残念。次回は外さず行きたいな。




$即興的”夜”演奏会(jazzライブ)ノススメ-大野雄二Trio 去る19日、大野雄二Trioのライブに出かけた。どうだろう、ここ3年は名古屋での演奏は外したことがない。それほどこのTrioのファンだ。ルパンⅢ世の楽曲提供でご存知の方も多いだろう。他に「犬神家の一族」に代表される映画音楽、多くのCM音楽...と、我々を楽しませてきた映像を支える屈指のメロディーメーカー。

そんな大野氏の演奏といえばYuji Ohno & Lupintic Fiveなどのルパンの楽曲が中心に構成されるライブが有名。迫力も含め、誰もが楽しめるプログラムで申し分ない。でも敢えて僕のお勧めは、Trioでの演奏。本当に素晴らしい。江藤良人(dr)の情感豊かながらもキレキレのブラシュワークが掛け合い、井上陽介(b)のつま弾く打ち出しの強いベースが曲を象(かたど)る。ピアノと一体化し、3人の絡み合っていく音を全身で歓んで躍動する大野氏。本当に年齢など全く感じさせない。愉しんでいるのがジンジンと伝わる。構成も彼の好きなスタンダード曲を中心に、Jazzピアニストしての魅力が一層際立つライブだ。僕も大好きな"You don't know what love is”は必ずと云っていいほど織り交ぜるナンバーだし、前回だったか演奏した ”Autumn Leaves(枯葉)"も今年他界したHank Jonesを彷彿とさせた。彼がどんな曲を好み、これまでどんなプレイヤーを敬愛し影響を受けたのかが感じとれるのも、このセッションならでは。そして哀愁や悲哀を紡ぎだす美しいマイナーフレージングを聴けば、きっとルパンMusicの生い立ちに触れることだろう。





Trioでの楽曲映像ありました。
この時のベースは俵山昌之さん。
有機無農薬野菜のみ食し、タバコは絶対拒否といった健康至上主義者みたいで、
大野氏にいつも「健康のためなら死んでもいい...」と紹介されちゃってたな。






Yuji Ohno & Lupintic Sixteen の映像。
2007年に行われた「ルパンⅢ世のテーマ」30周年コンサートから。

前記事で紹介した映画「恋のゆくえ "the fabulous baker boys"」のMichelle Pfeifferの唄うシーンを集めた映像を紹介しておきましょう。
おそらく彼女の大ファンと思われるブルガリアのantaliqさんの編集映像です。