古い友人の事などを書きました。 | きいろ日記

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主に目で見て、耳で聞いて、心で感じたことを書いていきます。

「お前、スティーヴン・ホーキング博士の最終論文知ってるか?」

と酒の席で不意を突かれました。

「知らん。」

「宝くじが当たった人がいたとするやろ。その人にしてみたら『奇跡が起こった』という事でも客観的に見たら、宝くじが誰か一人に当たるのは統計上、当然の事やねん。それを数式で証明したんや。」

と言っていました。

「なるほど。」

と言いましたが、よく考えるとそれって落語「高津の富」(東京では「宿屋の富」)やないか、と思いました。一分銭しか持たない旅人が、宿屋で大金持ちのフリをして、富くじ(宝くじ)を買わされ、それが当たって飛び跳ねる噺です。

物理と落語はよく似ています。この事象が起こるから、こういった結果が得られるという因果関係が、しっかりしているからです。

私がコントの台本を書く上で、落語にどっぷりハマって行った経緯にも似ています。構成がきっちりしている所が、落語の良さであり、そこに人物が乗っかるから笑えるという至ってシンプルな芸です。

物理学者を志した友と落語家に憧れた私が、友達になった理由も何かそこら辺にあるのかもしれません。

「お前の話には因果関係がないねん。」

と友。何の脈絡もない何のオチもない話をする私に、友達はイラついていたのだと思います。

旅行に行った帰り際、別れの挨拶に友達は言いました。

「俺らの研究っていうのは、主流から外れた所にある枝葉の部分やねん。主流になる研究をするのが、お前らやねん。」

去り際にいつもいい事を言う友を見て、清々しい気持ちになるのはいつもの事ですが、コロナ禍で長い間、一緒に飲んでいません。

関係が無いように見えて最後に必ず話のオチがある友達の漫談をもっと聞きたいです。